ブラックなアルバイトで悩まない!最低限知っておきたい労働基準法

2018-07-06 更新

労働基準法はブラックなアルバイトから働く人々を守ってくれる法律です。この記事では、残業やノルマ、シフトのことなど、アルバイトをしていると特に気になる部分を中心に「労働基準法の違反となる行為」をパターン別で紹介します。

アルバイトにも関係のある「労働基準法」とは、そもそもどんな法律?

労働基準法はすべての労働者に適用される法律で、正社員はもとより、契約社員や派遣社員、アルバイトやパートも対象になります。労働基準法では、労働時間や休憩時間、休日、給与や残業手当などの労働条件について、守るべき最低基準が明示されています。

たとえば、「長時間勤務なのに十分に休憩が取れない」「ノルマに対する罰金がある」というのは法律で禁止されています。アルバイトを始めるときは労働契約が結ばれますが、労働基準法の基準を下回る内容の場合は無効となり、労働基準法による基準が適用されるのです。また、労働基準法では、法律に違反する働き方をさせた場合、罰金刑や懲役刑などの罰則規定が設けられています。

労働基準法はアルバイトにも関係のある法律なので、最低限のことは知っておくとよいでしょう。

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【アルバイトの労働基準法】コレって違反?パターン別事例(1)残業代や休憩時間の問題

労働基準法による規定の中でも、アルバイトを始めるときに特に知っておきたいのは、残業代や休憩時間に関わることです。

●残業代
労働基準法では、1日の労働時間は8時間、もしくは、1週間の労働時間は40時間と定められています。これを法定労働時間と言い、法定労働時間を超えた場合は1.25倍の割増賃金の対象となります。たとえば、時給が1,000円の場合は1,250円の支払いを受けることになります。
また、残業代を含めて働いた分の賃金が支払われない場合も労働基準法違反となりますので、労働者は未払い賃金を請求することができます。ただし、帰り際でなんとなくダラダラと職場にいてしまったケースは労働時間とみなされないことがあり、賃金の支払い対象にならないことがあります。

●休憩時間
労働基準法では、労働時間が6時間を超えて8時間未満の場合は45分以上、8時間以上の場合には1時間以上の休憩を与えなければならないと定められています。そのため、7時間働いているのに、「忙しくていつも休憩がとれない」というケースや「お昼は15分で食べて戻ってきて」と言われるけど他に休憩時間がもらえないようなケースは労働基準法に違反しています。

【アルバイトの労働基準法】コレって違反?パターン別事例(2)ノルマ・罰金に関わる問題

アルバイトではノルマやノルマを達成できなかったときの罰金が問題になることがありますが、労働基準法に違反しないのでしょうか。3つのパターンを見ていきましょう。

●ノルマが課せられている場合
アルバイトなのにノルマがあることに疑問を持つ人もいますが、「ノルマ=目標」ですので、ノルマがあること自体は労働基準法の違反にはなりません。しかし、ノルマを達成できなかったときに罰金が科せられるケースは、労働基準法の「賠償予定の禁止」という規定に該当するため違反となります。違約金が定められていると、労働者としては罰金をおそれたり、その仕事を辞められなくなったりするので、このような定めは禁止されているのです。

●売れ残った商品を購入させられる場合
アパレルやコンビニなど商品を売るアルバイトでは、売れ残ってしまった商品を自腹で購入させられるケースがあります。しかし、これも同様に労働基準法の「賠償予定の禁止」に抵触する行為です。また、賃金の支払いは「全額払い」や「通貨払い」などの原則があるため、賃金の代わりに商品で支払うことも認められていません。

ただし、労働基準法に守られているからと仕事を怠けてしまうのはNGです。適法な指示であれば、その指示通りに労働を提供する義務はありますので、怠けずに仕事をして結果を出すよう努力する姿勢を持つことが大切です。

●レジの差額を自分で払う場合
コンビニなどでは、レジのお金が合わなかったときに、アルバイトに入っている人が割り勘で負担するという取り決めがされているケースがあります。しかし、たとえば時給900円で働いているのに、レジのお金が1,000円少なかったために、当時シフトに入っていた2人で500円ずつ自腹で払うのは、負担が大きいといえます。レジの差額を自腹で支払う取り決めも、「賠償予定の禁止」に抵触します。

また、店長が店員に対して損害賠償を求めるには、レジのお釣りを間違えられたことを立証しなければなりません。また、労働者だけのミスとは言い切れず、往々にして使用者側の責任もあるはずです。注意を怠った程度や労働条件も加味されますので、お店側から差額を全額賠償させられることは考えにくいのです。

【アルバイトの労働基準法】コレって違反?パターン別事例(3)シフトに関する問題

アルバイトをしていると、急な体調不良などで休まなければならなくなることもあるかもしれません。そんなときアルバイト先によっては、「休むならシフトの代わりを自分で見つけてきて」と店長から言われるケースもあるようですが、法律上はどうなのでしょうか。

アルバイトは労働契約で労働を提供する義務を持っていますが、欠勤時に代わりの人を探す義務はありません。シフトの代わりを探すのは、雇用主側の仕事になります。また、「欠勤したら罰金○○円」という取り決めも、労働基準法の「賠償予定の禁止」に抵触する行為です。

とはいえ、急な休みはバイト先に迷惑をかけてしまいますので極力避けるとともに、やむを得ず休む場合には、できるだけ早く連絡を入れるようにしましょう。

【アルバイトの労働基準法】コレって違反?パターン別事例(4)賃金の問題

アルバイトだから、時給は安くても仕方ないと思っていませんか?最低賃金法によって、最低賃金が決められています。

最低賃金は都道府県ごとに決められ、アルバイトを含めたすべての雇用形態の労働者に適用されるものです。最低賃金を下回る労働契約は無効であり、最低賃金を下回った場合は、差額分を未払い賃金として請求する権利があります。最低賃金は時給で決められていますので、日給の場合は時給換算して考えます。

たとえば、東京都の場合、2017年10月1日からの最低賃金は958円なので、時給900円のアルバイトは最低賃金を下回っています。また、日給のケースでは、たとえば5,000円で労働時間が6時間の場合、時給換算すると約833円と最低賃金を下回るので、こちらも労働基準法違反です。

アルバイト中に労働基準法の違反かも?と疑問が生じたら…

もしも、アルバイトをしていて労働基準法のことで疑問を持ったなら、まずは店長や上司など雇い主に相談をしてみましょう。
労働基準法への抵触が疑われても、雇い主に話を聞き入れてもらえないなど改善の見込みがない場合は、労働基準監督署に相談をするという手段もあります。労働基準監督署は厚生労働省の出先機関で、労働基準法の遵守を図るため、企業に調査や指導を行うとともに、悪質な違反に対しては強制捜査ができる機関です。

アルバイトしやすい環境で働くためにも労働基準法を理解しておこう!

アルバイトなどの労働者は労働基準法によって、不利な条件での労働を強いられることがないように守られています。
ただし、労働基準法に守られているからと仕事を怠けてしまうのはNGです。適法な指示であればその指示通り労働を提供する義務はありますので、怠けずに仕事をして結果を出すよう努力する姿勢を持つことが大切です。
雇い主とアルバイトのお互いが気持ちよく仕事ができる環境にするために、労働基準法について、理解や関心を深めて疑問や不安を解消していきましょう。

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監修:神尾尊礼(かみおたかひろ)

彩の街法律事務所 代表弁護士。
東京大学法学部・法科大学院卒。2007年弁護士登録。埼玉弁護士会。刑事事件から家事事件、一般民事事件や企業法務まで幅広く担当し、「何かあったら何でもとりあえず相談できる」事務所を目指している。