【業界研究】生命保険業界志望の就活生必見!基礎知識や動向をまとめ

「人の一生に関わる仕事」である生命保険業界。生命保険業界に関心がある学生さんむけに、生命保険業界の基礎知識から、業界研究にかかせない業界全体を取り巻く動向、業界を代表する個別企業の戦略まで解説します!

生命保険業界の基礎知識と利益構造

保険業の分類

保険は、「保険業法」という法律で規定されています。意外と知られていないのが、保険業を「生命保険固有分野(第一分野)」「損害保険固有分野(第二分野)」「第三分野」という3つの分野に明確にわけて規定しているということです。特に、生命保険固有分野と損害保険固有分野については、同一の保険会社で営業することが禁止されています。第三分野については、生損保会社本体で取り扱うことが1995年の保険業法改正により認められ、2001年から保険会社本体による相互参入が実施されています。

生命保険とは

生命保険とは、その名の通り「人の生命や身体に対しての保障」をする保険で、「第一分野」といいます。
「第二分野」は「モノに対するアクシデントを補償」する保険です。こちらは損害保険が主に担っています。
最近マーケットが拡大しているのが、医療保険、ガン保険など。人は誰しもがいつか必ず亡くなりますが、ガンは「なるかならないかわからない」という意味で、アクシデントともいえます。これらの保険が、第一分野と第二分野の中間に位置するものとして第三分野とされています。
生命保険業界は、第一分野・第三分野を主にカバーします。

生命保険会社の利益

生命保険会社には、「収支相当の原則(契約者全体が保険会社に支払う総額と、保険会社が受取人全体に支払う保険金の総額が相等しくなるという原則)」があります。各社、収支を予想して保険料を決定しますが、生命保険会社も当然利益を必要とします。それが以下の3種類の利益です。

  • 死差益…予想より亡くなる人が少なかった収益
  • 利差益…予想より資産運用がうまくいった収益
  • 費差益…予想より運営費を抑えられた収益

生命保険の販売チャネル

その市場規模は大きく、日本国内での生命保険世帯加入率は数十年80%前後を推移しています。世界と比較しても高い日本の生命保険加入率を支えているのが生命保険業界独特の販売チャネルです。
「保険外交員」と呼ばれる主に女性の生命保険会社社員が、家庭や会社などを回って契約の募集・勧誘などを行うスタイルが、長らく生命保険販売を支えてきました。近年は複数の会社の保険商品を扱う保険ショップや銀行窓口、インターネット経由など、販売チャネルが広がっています。しかし、今でもいちばん多くの契約件数があるのは、この保険外交員経由の加入です。

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生命保険/損害保険の就活情報・新卒採用クチコミ - みん就(みんなの就職活動日記)

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業界研究に欠かせない生命保険業界を取り巻く最新動向

集めた保険料を資産運用することで、収益を上げる生命保険会社。その安定的な資産運用先であった国債が、マイナス金利政策で利回りを大きく下げたため、貯蓄性の高い保険商品を販売停止した保険会社が多数あります。その影響で、2016年から2017年にかけて終身保険などの新契約高が下回る一方、ガン保険などの第三分野は好調で保有契約高・保有契約件数ともプラス成長しています。
また、保有契約高の減少要因となる解約・失効高が、生命保険各社の契約継続のための経営努力により年々減少しており、保有契約全体の増加につながっている点も要チェックです。

ただし、生命保険の世帯加入率は80%の高止まりで頭打ち傾向にあり、長期的には人口減少の影響で国内市場は縮小に転じる可能性が高いことが予想されています。

資産運用に関しては、各生命保険会社とも国債償還分を新たな国債購入ではなく外債や海外ファンドなどへの投資に積極的に投資。ローリスク・ローリターンの安定的な投資から、運用高度化を目指しています。

また、生命保険マーケットそのものを国内だけでなく海外に求めて、大手を中心に積極的に海外企業の買収や提携をすすめる動きは2015年以降、継続して動いています。

これからの動きとして、生命保険業界に10年ぶりに大きな影響を与える出来事が予定されています。2017年4月に金融庁が標準利率を改定したことに続き、新しく「標準生命表2018」が2018年4月から適用されることになっており、すでに2017年10月に公益社団法人日本アクチュアリー会から公開されています。
標準生命表とは、契約者に保険金を必ず支払えるように積み立てておかなければならない「標準責任準備金」の計算に使われる死亡率の根拠となる数字で、各社共通で使われるものです。4月の改定では長寿化を反映しており、商品によって値下げされるもの、値上げされるものがあります。今後の商品展開や契約件数に大きな影響があることが予想されます。

業界地図を参考に大手生命保険会社の事業戦略を押さえよう

生命保険会社は、登録免許が必要です。2017年12月1日現在、金融庁の許可を受けている保険会社は合計43社で、大きく5つに分類できます。それぞれ得意な販売先や営業手法が異なります。それぞれ、特徴をつかんでおきましょう。

  • 国内大手…大手といわれる生命保険会社は5社。
  • 国内準大手…財閥系列などもあり、それぞれ販売網に独自の強みを持つ。
  • 損保系…損害保険会社の系列の生命保険会社。
  • ネット系…保険外交員を持たず、ネット直販で生命保険販売をする。
  • 外資系…第三分野に強みを持つ。

最後に、業界をけん引する企業の概要と、最新の動向をチェックしましょう。保険料等収入トップ5の国内大手企業をピックアップしてご紹介します。

かんぽ生命

総資産では民間首位である日本生命をしのぐ規模を誇るかんぽ生命。全国2万局の郵便局を代理店チャネルに持つ。海外生命保険事業展開として、第一生命・ベトナム郵便会社とのベトナムでの生命保険サービスの普及・促進に取り組む。

日本生命

生命保険業界民間トップの日本生命。海外生命保険会社の買収に積極的に投資。2015年に、今後10年間で国内外の保険会社などに対して出資やM&Aに1兆~1.5兆円を投じる計画を発表。その年に三井生命保険を買収、オーストラリアの生命保険事業を子会社化するなどし、2018年3月にも国内中堅のマスミューチュアル生命保険を買収すると発表。

第一生命

大手5社のうち、唯一の上場会社。基本戦略を、3つの成長エンジン(国内生命保険事業、海外生命保険事業、資産運用・アセットマネジメント事業)と定義。海外インフラ案件などの新規分野への投融資、外国債券の投資対象国の拡大(2017年3月現在35カ国)に取り組む。

明治安田生命

三菱系生命保険会社。大手5社中、保険料等収入はいちばん少ないながら、高い基礎利益率を誇る。財務の健全性に定評あり。

住友生命

南アフリカのDiscovery・ソフトバンク株式会社と提携し、〜健康増進型保険「Vitality」を日本市場に導入する取り組みを3社共同で開始するなど「新たな価値づくり」をテーマに業務運営する。

業界研究では企業個別の戦略についてもしっかり把握しよう

金融業界の一部である生命保険業界。金融を取り巻く環境の変化は、生命保険事業にも大きな影響があります。業界の動向だけでなく、個別企業がどのように環境変化に対応するか、その動向も把握しておくことが大切です!

参考

[1]日本経済新聞社
[2]2017年08月29日
[3]日経業界地図 2018年版
[4]日本経済新聞出版社

[1]生命保険の動向2017 | 統計資料 | ニュースリリース・統計資料・刊行物 | 生命保険協会
[2]http://www.seiho.or.jp/data/statistics/trend/
[3]2018.2.11

[1]標準生命表2018|公益社団法人 日本アクチュアリー会
[2]http://www.actuaries.jp/lib/standard-life-table/index2018.html
[3]2018.2.11

関連リンク

生命保険/損害保険の就活情報・新卒採用クチコミ - みん就(みんなの就職活動日記)

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著者:沼田絵美

最低求人倍率0.98を記録した2000年卒。当時流行だった就職サークルをインカレで立ち上げ、某新卒就職サイト運営会社に企画営業として就職。東京・名古屋・大阪3都市で中堅から大手企業の採用支援に計10年携わった後、大学キャリアセンター相談業務を担当するキャリアコンサルタント、就職関連ライターとして独立。標準レベルキャリアコンサルタント資格であるキャリア・ディベロップメント・アドバイザー資格所持。