【企業研究・伊藤忠商事】攻めの事業展開を行うの総合商社の魅力とは

就活生に人気の総合商社、躍進する伊藤忠商事

商社は就活生に人気があります。その理由としては、商社マンは海外を舞台にバリバリ仕事ができること、30歳の年収で1,000万円クラスという平均給与の高さが主な魅力として考えられます。

みんなの就職活動日記で19年卒の学生に対する調査結果をまとめた「2019年卒 新卒就職人気企業ランキング」では、総合ランキングの第2位に伊藤忠商事がランクインしました。

商社を志望する際にまず知っておきたいのは、商社には総合商社と専門商社があること。「ラーメンから人工衛星まで」といわれるように、幅広い商品を扱うのが総合商社。鉄鋼、食品、医薬品、半導体など特定の分野に特化しているのが専門商社です。

総合商社には「五大商社」と「七大商社」があります。五大商社とは、財閥系の三菱商事、三井物産、住友商事と、非財閥系の丸紅、伊藤忠商事の5社をいいます。この5社にトヨタ自動車系でトーメンと合併して生まれた豊田通商、日商岩井とニチメンが合併した双日の2社を加えた企業が七大商社です。

五大商社のうち非財閥系は丸紅と伊藤忠商事の2社ですが、実はそれぞれの企業の創業者は兄弟です。近江商人だった兄の伊藤長兵衛が丸紅、弟の伊藤忠兵衛が伊藤忠商事を作りました。現在ではまったく別の企業として展開しています。

▽伊藤忠商事に関する就活生のクチコミ
伊藤忠商事の掲示板・クチコミ - みん就(みんなの就職活動日記)

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非資源分野への注力、中国市場に進出と攻めの事業展開

就活生が、伊藤忠商事を高く評価したことには理由があります。岡藤正広社長のリーダーシップによるアグレッシブなビジネスが、大きな成果を残したからです。

これまで総合商社の主力事業は、石油や鉄鋼石などの資源を中心としていました。しかし、資源相場の急落により、それぞれの総合商社は苦境に立たされました、厳しい環境変化でしたが、伊藤忠商事はアパレル(繊維)分野や食品分野の事業が堅調に実を結び、2015年3月期の純損益は3,005億円の黒字、前年比22.5%の実績を残しました。

アパレル分野では、繊維部門で国内最大手のジーンズ製造・販売業者であるエドウイングループを子会社化。食品分野では、アメリカのDole社を買収しました。バナナ、パイナップルは世界で最大クラスの販売量があり、北米市場でトップシェアの加工商品を持つDole社を買収し、さらに新商品の開発や新たなビジネス展開も視野に入れています。

また、流通の分野ではファミリーマートを傘下に置き、ファミマ・ドット・コムの運営やファミマTカードのサービスも展開。ファミリーマートは、セブンイレブンに次ぐ業界第2位の店舗規模となっています。

伊藤忠商事の事業戦略は、非資源商社のナンバーワンを標榜していることが特長です。

事業の強みとして、中国・アジア進出の積極的な展開も挙げられます。タイの財閥系チャロン・ポカパン(CP)グループと組んで、中国の複合企業「中国中信集団(CITIC)」に1.2兆円の巨額投資を行いました。アジアの2大企業との提携によって、中国はもちろんアジアの新興国で食品や通信分野などの事業展開を狙っています。

総合商社は、ビジネスモデルの転換が求められています。売り手と買い手の取引の流れを構築する従来の「トレード」から、有望な事業に出資して収益を得る「事業投資」に力を入れ始めました。「儲ける仕組み作り」が総合商社に求められているといえるでしょう。

野武士集団として、商魂のある個人力を重視

創業者の伊藤忠兵衛は近江商人であり、商社マンと呼ぶよりも「商人」というイメージが適切かもしれません。総合商社というと、はなやかな世界を想像するかもしれませんが、実際には下積みや社内外の人間関係作り、語学力強化の勉強など、地道な努力が必要とされる業界です。

近江商人には「三方よし(売り手よし、買い手よし、世間よし)」という商いの哲学があります。トレードの基本ともいえます。重要な点は、売り手と買い手だけでなく「世間」つまり社会に対する貢献も忘れないことです。近江商人の伝統的な商人魂を基盤として、社会と未来を見据えて、責任感を持って仕事をする倫理観が求められます。

伊藤忠商事はかつてから「野武士集団」と評されていました。自由闊達な風土があり、必要とされるのは「個人の力」です。岡藤正広社長は、「現場力強化」を重視し、会議や書類の徹底した削減を行いました。営業職が自由に活動できる環境を整えるためです。

小田急線の成城学園前駅には、独身の社員のために「成城寮」があります。ほとんどの新入社員はここで生活とのこと。同僚だけでなく先輩との交流が生まれ、他の部署の話を聞けることも寮生活のメリットです。

財閥系商社に迫り、勢いのある伊藤忠商事。業界トップを目指して、挑戦する意欲とタフな精神力を備えた新人を求めているようです。

【参考資料】

  •  『就職四季報 2016年版』東洋経済新報社
  •  『会社四季報 業界地図 2016年版』東洋経済新報社
  •  『日経業界地図 2016年版』日本経済新聞
  •  『最強の業界・企業研究ナビ2017 全18業界完全対応』木之本敬介+あさがくナビ編集部 朝日新聞出版
  •  『絶対内定!するための企業研究 日本の200社』菊地浩之著 KADOKAWA
  •  伊藤忠商事株式会社ホームページ 採用情報 http://career.itochu.co.jp/

関連リンク

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監修:小室直子

臨床発達心理士
中級教育カウンセラー
東北福祉大学大学院修士課程卒業後、専門学校専任講師、大学の非常勤講師として心理学系科目の講義を行うかたわら、のべ200名の就職支援の経験を持つ。