通るエントリーシートとは?一目おかれる志望動機の書き方 例文あり

2018-06-04 更新

エントリーシートの書き方マニュアルが必ずしも正解ではない

多くの就活マニュアルでは「まず自己分析から始めよう」と書かれています。あるいは「仕事のビジョンや、具体的に貢献したいことを考えよう」とも。

しかし、働いた経験がないのにビジョンも具体的な仕事も思い浮かばないのが現実ではないでしょうか? 社会人経験のない学生のあなたに、いきなり難しいことを求める就活マニュアルが間違っています。

また、就活マニュアルで重視しているのは、自己分析の後は、たいてい「熱意を示そう」のような精神論や、「説得力のある文章を」という上辺のテクニックです。多くの学生が同様のマニュアルを参考にするため、どの就活生のエントリーシート(ES)も「チャレンジ精神があります」「御社のグローバルな事業に貢献したいと考えております」のような、抽象的かつ定型的な美辞麗句が躍ることになります。

抽象的な志望動機は採用担当者に見透かされる

「これ、別にうちの会社に提出するエントリーシートじゃなくてもいいよね? というか、コピー&ペーストして、ほかの会社にも使いまわしているでしょ?」というエントリーシートは、あなたが一流大学でなければ採用担当者にスルーされるのが現状です。一流大学であれば、学歴フィルターのおかげで面接はともかく書類選考は通過できるかもしれません。

前提として、エントリーシートを書くときに重要なことは、自己分析をやってから企業研究という直線的な進め方をやめることです。

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マニュアルがなくても志望動機がスラスラと書ける方法がある

自己分析と企業分析を同時並行してエントリーシートを書く

志望動機をスラスラと書いていくためには、どうするかといえば「スパイラル手法」を使います。これはズバリ「自己分析と企業分析を同時並行して進めること」です。
「プロトタイプ思考(build to think)」をご存知でしょうか?

企業の商品開発でも最近重視されていますが、いきなり完成品を作るのではなく、試作品(プロトタイプ)を作ってお客様や選ばれたモニターの方に使っていただきます。その意見を何度も行き来させて試作品に反映しながら、スパイラル(らせん)状で完成品に近づけていく手法です。

自分が興味のあることで企業を絞り、志望動機を詰める

このフレームワーク(枠組み)をエントリーシートの志望動機にも取り入れるとよいでしょう。つまり、自己研究から始めたり志望業界や具体的な仕事を決め たりするのではなく、漠然とした状態で構わないので業界と企業のアタリをつけます。そして、企業研究をしながら自己分析を行い、相互を連携しながら志望動機を詰めていくのです。
例えば「電機メーカーが面白そう」「営業は苦手だから事務系がいい」と考えたとします。その漠然とした状態で、企業研究に取りかかります。インターネットを使って業界

全体を見渡して、面白そうな企業を探します。
電機メーカーとして、東芝、富士通、NECをピックアップできました。たまたま、あなたのパソコンは富士通製だったので、とりあえず富士通を仮の志望先に決めたとしましょう。

次に、東洋経済新報社の『就職四季報』で富士通のページを確認します。前年度の配属先には「営業、システムエンジニア、サプライチェーンマネージメント、購買、法務、知的財産、財務・経理、総務・人事、他」と書かれています。営業はパスでした。
ところが、あなたは「あれ? あまり勉強しなかったけどオレ法学部じゃん」と気付いたとします。そこで浮上するのが「法務」「知的財産」の職種です。「知的財産」について、大学の講義で学んだ覚えがあることを思い出したとします。
早速、富士通の会社ホームページで「知的財産」のコンテンツを調べます。次のように書かれていました。

「富士通の知的財産戦略は、事業の競争優位性の確保、事業の自由度の確保、事業収益の確保の3つを目的としています。」
どうやら重要な仕事のようです。『就職四季報(2016年版)』を読み直してみると、次のように書かれていました。

「09年にHDDを東芝に売却、半導体も設計・製造事業を切り離すなど脱ハードを推し進める」

ソフト路線にビジネスを転換しているようです。そこで、「ソフトウェアの知的財産って、今後ますます大事になるんじゃないか。知的財産を法的に守る必要があるはず。それだ! それをやるぞ、オレが」と考えたとしましょう。
これでもうエントリーシートは書けます。自己分析と企業研究が連動しているので、テクニックは必要ありません。マニュアルに頼らなくても、裏付けと熱意のある文章が書けるはずです。

ただし、ここでは手法を簡略化しましたが、自己分析と企業分析をスパイラル状に並行して進めていく中で、必ず「なぜ?」を問い直して、自己PRや志望動機を深めてエントリーシートを進めていってください。スパイラルの深度が浅いと、面接で突っ込んだ質問をされたときに答えに困るからです。

知的財産部門をめざす志望動機の例文

このような過程を経た志望動機の例文を、次に挙げてみます。

「私は、貴社の知的財産を守る仕事を志望いたします。貴社は、HDD部門の東芝への売却、半導体部門を主要事業から切り離すなど、脱ハード化を進めていることを知りました。そこで、今後はITサービスの知的財産の価値が重要になると推測いたしました。法学部で学んだ知識を生かして、貴社の知財による優位性を高めるために努力いたします。大学時代よりさらに学ぶ姿勢で仕事に臨もうと考えております。」重要なポイントは以下です。

  •  まず徹底的に企業研究をしていること(ひとりよがりな自己分析が先ではないこと)
  •  企業研究をベースとして自己分析が連携していること
  •  結論から先に書き、理由を続けること
  •  間違っていても構わないので、自分の考えをきちんと述べること
  •  「お? 会ってみようかな」と思わせる文章であること

いかがでしょうか。最後のポイントは難しいのですが、志望動機と関連付けて具体的な体験のエピソードなどを盛り込むとエントリーシートだけでも採用担当者に注目してもらえる可能性が高まるかもしれません。

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著者:小室直子

臨床発達心理士
中級教育カウンセラー
東北福祉大学大学院修士課程卒業後、専門学校専任講師、大学の非常勤講師として心理学系科目の講義を行うかたわら、のべ200名の就職支援の経験を持つ。