倍率は?学歴は?出版業界に就職するために知っておきたいこと

毎年、出版業界は就活生の応募が殺到するといわれています。競争率の高い出版業界に就職するためにも、業界研究は必須です。今回は、出版業界全体の状況や試験対策など出版社に就職するために知っておきたい情報をお伝えします。

【出版業界研究:現状把握】出版業界を目指すなら知っておきたい現状

近年、インターネットやスマートフォンの普及によって書籍離れが進んでいます。2016年の雑誌・書籍の推定販売金額は約1兆4,700億円となり、ピークの1996年に比べて4割以上減少しています。なかでも雑誌の減少幅は大きく、インターネットや電子端末で読める雑誌読み放題サービスの普及が背景にあると考えられます。書籍や雑誌の多くは書店から出版社に返品することができますが、その返品率もここ数年、雑誌において特に上昇しています。

そこで近年出版業界全体で力を入れているのが電子書籍の分野です。タブレット端末やスマートフォンで読めるので、持ち運びに便利でスペースもとらないため徐々に普及しています。しかし、2016年の国内市場規模は1,909億円と紙媒体に比べるとまだまだ市場規模は小さめです。前年比27%増と増加傾向ではあるので、今後も多くの出版社が注力していくと考えられます。

ところで、出版業界に興味があるのであれば、出版物の流通システムも知っておく必要があります。出版業界では長く出版社、取次、書店という3者の間で出版物が流通していく構造になっています。

・出版社:出版物をつくる
・取次:出版物を書店へ卸す
・書店:出版物を販売する

近年、メディアドゥなど、電子書店と出版社を仲介する新しい取次も生まれています。また、出版社であるKADOKAWAはEC大手のアマゾンジャパンとの間で取次を介さずに取引をする試みをスタートさせています。出版社、取次、書店という基本構造にも変化が生まれており、業界研究をする上で抑えておきたいポイントです。

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【出版業界研究:選考基準と学歴】出版社への就職に学歴は関係する?

出版社の就活では、少ない募集に数多くの学生が応募するため、非常に狭き門となります。募集数の数十倍以上の応募者が殺到することも多く、そのため競争倍率も非常に高く、書類選考の時点で学歴が通過を決める1つの要素になっている可能性は捨てきれません。
特に大手出版社の場合、書籍の分野は多岐にわたるので、幅広い知識、教養、柔軟な思考力が求められます。そのため、学歴はあるに越したことはないと捉えるといいでしょう。しかし、学歴で全てが決まるわけではありません。特定の分野に特化した出版社は全国にたくさんありますし、出版社への就職にこだわりがあるのであれば、会社の規模を問わず数多くの出版社に応募するのもいいでしょう。

また、書籍づくりに携わりたいのであれば、出版社から依頼を受けて企画、執筆、編集を行う編集プロダクションに応募するのも1つの方法です。出版社と編集プロダクションは書籍づくりに携わる点では共通していますが、販売や増刷する権利は出版社にあり、編集プロダクションはその出版社の下請けであるという点が異なります。編集プロダクションは出版社よりもハードな労働であることが多いですが、全国にたくさんあるため、就活生にとっては選択肢が広がることになります。
出版社の場合、新卒の募集数は少ない傾向にありますが、中途採用を行う出版社は数多くあります。編集プロダクションで実力をつけ、出版社へ中途入社するケースも多くあり、編集プロダクションへの新卒入社を1つの道として候補に入れるのもいいでしょう。

【出版業界研究:就職の難易度】出版社への就職は難しい?倍率はどれくらい?

出版社はメーカーや金融を始めとした他の業界に比べて、社員数が少ない傾向にあります。新卒の採用数も少なく、多い会社でも数十名程度です。なかには全く採用のない出版社もあるので、出版社へ入社するのはとても狭き門であるといえます。ここでは講談社、新潮社、文藝春秋が2016年に実施した採用試験の倍率を確認しておきましょう。

・講談社……約109倍(2,513人応募、23人内定)
・新潮社……約451倍(1,352人応募、3人内定)
・文藝春秋……約130倍(652人応募、5人内定)
(講談社は講談社の公式サイト、新潮社と文藝春秋は『マスコミ就職読本2018 (2巻 新聞・出版篇)』を参照)

このような高倍率を見ると、とても難易度の高い選考だということがわかるのではないでしょうか。他の業界より選考が始まる時期が早いケースもありますし、出版社特有の筆記試験や作文試験の対策も必要になります。なるべく早い時期から対策を始めましょう。

出版社で働くという夢があるのであれば、就活が本格化する前から出版社でアルバイトをしたりインターンシップをしたりするのも1つの方法です。出版業界は一見すると華やかな業界ですが、締め切りに追われるなどして激務になりがちです。一度職場を見てから、本格的な試験対策に移るのもいいでしょう。

【出版業界研究:ES&面接対策】出版社の就活4つのポイント

出版社の就活では他の業界よりも少し特殊な対策が必要です。ここでは出版社のエントリーシート、面接対策において押さえておきたいポイントを紹介します。

・企画力を磨く
エントリーシートや面接では他の業界とはちがって企画力が特に重要視されます。実際にどのような書籍を手がけたいのか、雑誌ではどのような特集を組みたいのかなど、具体的に提案することが求められます。企画力といわれると難しそうに感じるかもしれませんが、ヒントになるのは人が持つ悩みや疑問の部分です。基本的に書籍や雑誌の多くは悩みや疑問を解決するために作られています。様々な年齢層の人に悩みをきいたり、インターネットを通じて人々の疑問を集めたりすることで企画づくりのヒントを得られます。書籍や雑誌記事のタイトルや中身、キャッチコピーなども含めてなるべく具体的に企画を立てましょう。

・興味関心の幅を広く持っておくこと
扱うジャンルの幅が広い大手の出版社であればあるほど、興味関心の幅を広く持っておくことは大切です。実際、筆記試験の出題範囲も非常に広いですが、エントリーシートや面接でも幅の広さを問われるケースがあります。たとえば、エントリーシートでお気に入りの作品について、小説、マンガ、イベント、アプリなどのジャンルからそれぞれ複数個回答を求められることがあります。就職活動の時期になってから新たに本などを読もうと思っても、なかなか難しいのが現状です。なるべく早い時期から、数多くの作品に触れておきましょう。

・わからないことはわからないという
どの業界においても大切なポイントですが、面接では知ったかぶりをしないように注意しましょう。出版業界を目指すにあたって、たくさんのことをインプットしたとしても、面接官は実際に現場で働いている人たちばかりです。1つ知ったかぶりをしてしまうと、そこからたくさんの質問を投げかけられることもあります。わからないことがあって当然だというスタンスで臨み、熱意をこめつつも謙虚な気持ちを持って応対するように心がけましょう。

・最終的にはこの人といっしょに働きたいと思ってもらえるかがポイント
出版社以外でもいえることですが、「この人といっしょに働きたい」と採用担当者に思ってもらえるかという点が最終的な決め手になります。いくら能力が高くても、いっしょに働きたくないと思われてしまうと、内定にはつながらないのです。志望理由、学生時代に打ち込んだこと、長所や短所など他の業界でもきかれるようなことは出版社でも質問されています。自分の良さを精一杯アピールできるように、自分自身について深く見つめ直し、後悔のない応対ができるよう万全の準備をしておきましょう。
また、志望している出版社の作品は幅広くチェックしておくことももちろん大切なポイントです。感想や意見を求められることもあるので、熱意をアピールできるチャンスと捉えて、しっかり準備をしておきましょう。さらに、作文力も実務上大切なポイントになります。出版社で編集を担当することになると、ライターや作家さんらとコミュニケーションをとったり、企画書を作ったりする必要が出てくるからです。ときには宣伝文や雑誌記事を編集者自ら書く場合もあるので、「いっしょに働きたい」と採用担当者から思ってもらうには作文の力もとても重要になります。

本気で出版社に就職したいなら、徹底した業界研究と万全の対策をしよう!

華やかに見えて大変なことも多いのが出版社の仕事です。それでも出版社に就職したいのであれば、広くアンテナを張り巡らせて、企画力をつけ、自分自身のことも深く見つめ直しましょう。厳しい倍率を勝ち抜くためにも早めに対策を始めることが大切です。

参考

[1]植田 康夫 (監修)
[2]2017/2/28
[3]出版〈2018年度版〉 (産業と会社研究シリーズ)
[4]産学社

[1]日本経済新聞社
[2]2017/8/26
[3]日経業界地図2018年版
[4]日本経済新聞出版社

[1]月刊『創』編集部
[2]2016/12/3
[3]マスコミ就職読本2018 (2巻 新聞・出版篇)
[4]創出版

[1]冨板 敦
[2]2016/12/14
[3]出版社 内定獲得! 2018年採用
[4]TAC出版

関連リンク

出版の就活情報・新卒採用クチコミ - みん就(みんなの就職活動日記)

 

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著者:沖 圭祐

関西在住のライター、キャリアコンサルタント。 総合大学卒業後、大学受験予備校で進路相談の職員を経験。大学職員として勤務した後、ライター、キャリアコンサルタントとして独立。 現在では就職活動、転職活動、働き方といった分野を中心に記事を書いています。履歴書、エントリーシート、小論文作成のアドバイスや添削といった仕事もしています。食べることが大好きで、お土産やグルメの記事も執筆中。教員免許や国家資格であるキャリアコンサルタントの資格も所持しています。