働き方改革とは?就活生が知っておきたい、企業の働き方改革の基本

「働き方改革」という言葉を耳にする機会が増えましたが、企業では実際にどのような取り組みがされているのでしょうか?働き方改革とはどのようなものか、基本的な内容やその背景とともに具体的な企業の取り組みや事例を紹介します。

働き方改革とはどのようなものか?

働き方改革とは一億総活躍社会の実現へ向けて2016年8月に安倍政権が閣議決定した政策のことです。「働く人の視点に立つ」という姿勢を重視していて、国民一人一人が自分に合った働き方を選択できるようにすることが、1つの大きな目的です。「働き方改革実行計画(概要)」では検討テーマとして以下の9つが挙げられています。

・非正規雇用の処遇改善
・賃金引上げと労働生産性向上
・長時間労働の是正
・柔軟な働き方がしやすい環境整備
・病気の治療、子育て・介護等と仕事の両立、障害者就労の推進
・外国人材の受入れ
・女性・若者が活躍しやすい環境整備
・雇用吸収力の高い産業への転職・再就職支援、人材育成、格差を固定化させない教育の充実
・高齢者の就業促進

(引用:「働き方改革実行計画(概要)」http://www.kantei.go.jp/jp/singi/hatarakikata/ 

これを見ると、非正規労働者、障害者、外国人、女性、若者、高齢者など非常に幅広い労働者を対象としていることがわかります。また、長時間労働の是正や柔軟な働き方がしやすい環境整備といった労働環境の改革にも力を入れていく姿勢が伝わって来ます。

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今、企業に働き方改革が必要な理由とは

働き改革が必要な理由は大きく以下の4つが挙げられます。

(1)少子高齢化によって働き手が不足しているため
(2)自分らしく働きたいというニーズに応えるため
(3)労働環境の整備の必要性が高まっているため
(4)不合理な格差をなくすため

それでは順番に確認していきましょう。

(1)少子高齢化によって働き手が不足しているため
日本では他の国では例を見ないほど少子高齢化が進んでおり、労働者不足が顕著となっています。今後ますます少子高齢化は進むと考えられていて、多くの高齢者を少ない労働者で支えるという状況が今後も続くと考えられています。

このような状況では、現在のような社会保障制度を維持するのはとても難しく、経済成長という意味でもとても不利な状況に置かれます。今のままでは労働人口が減る一方であり、女性や高齢者、障害者を含めなるべく多くの人に働いてもらう必要性が増しているのです。

(2)自分らしく働きたいというニーズに応えるため
フリーランスやリモートワークなど働き方が多様化しています。企業に属さず自分の力で勝負したい、家にいながら仕事をしたいなど、それぞれの人が自分に合った働き方を目指すことは、個々人の幸福感を高めることにもつながります。自分らしく働きたいというニーズに応えることは、政府の果たす役割でもあるのです。

(3)労働環境の整備の必要性が高まっているため
過労死や自殺にいたる長時間労働が社会問題になっており、労働環境の整備が多くの企業で課題となっています。残業を制限することは企業にとっては利益の減少につながりかねず、残業の規制に対して消極的な企業もありますが、国がより一層厳しく監視していくことが求められているのです。

(4)不合理な格差をなくすため
実際に担っている仕事は同じでも、正規雇用、非正規雇用の間には基本給、昇給、ボーナス、各種手当などで差が生じている状況が多くあります。また親の経済力によって、教育機会が不平等になっているとの指摘もあります。このような格差の解消も、働き方改革の目的の1つです。

では実際に、企業ではどのような働き方改革が実施されているのでしょうか。気になる企業の働き方改革の事例を紹介していきます。

【働き方改革の事例1】伊藤忠商事株式会社

まず1つ目は2013年の10月から朝型勤務制度を導入している大手総合商社、伊藤忠商事株式会社です。朝型勤務制度の概要は以下のとおりです。

・深夜勤務(22時〜5時)の禁止
・20時〜22時勤務の原則禁止(やむを得ず20時以降勤務が必要な場合は事前申請の上、認可。)
・早朝勤務時間(5時〜8時)は、深夜勤務と同様の割増賃金を支給
・7時50分より前に始業した場合、5時〜8時の割増率を8時〜9時にも適用
・健康管理のため8時前始業社員に対して軽食を支給

この朝型勤務制度を導入する前と、導入してから3年経過したあとでは一人あたりの時間外勤務時間(残業時間)が約15%も減少しました。夜疲れた状態でだらだらと残業するよりも、朝すっきりした状態で始業時間までに区切りをつけようと仕事するほうが効率的だったということを示しています。

この朝型勤務制度がスタートするきっかけになったのは東日本大震災でした。顧客が早朝から震災の対応に追われているなか、伊藤忠商事ではフレックスタイム制度で10時から出勤している社員が多いのは問題であるとの判断から勤務制度の見直しがスタートしたのです。

【働き方改革の事例2】イケア・ジャパン株式会社

イケア・ジャパン株式会社は家具量販店世界最大手であるイケアの日本法人です。イケアはスウェーデンが発祥の地で、「より快適な毎日を、より多くの方々に」を共通のビジョンとしています。このイケア・ジャパンが2014年9月に行った働き方改革はコワーカー(ともに働く人々)をフルタイム・パートタイム関係なく全員正社員にするというものでした。同一労働、同一賃金をいち早く行ったこの改革の具体的な労働条件は以下のとおりです。

・無期雇用
・社会保険完備
・有給休暇・子の看護休暇・家族介護休暇・私傷病休暇・ボランティア休暇などの休暇制度あり
・週12時間から38時間までの間で勤務時間を選択可
・昇給あり
・交通費規定支給
・シャワールーム完備、社員食堂有 など

このような改革を実行できたのは人を大事にするという姿勢が組織のなかで根付いているからに他なりません。「より快適な毎日を、より多くの方々に」というビジョンは顧客だけではなく、働き手にも当てはめられているのです。

【働き方改革の事例3】カルビー株式会社

大手菓子メーカーのカルビー株式会社は、菓子メーカーのなかでも早期に働き方改革を行ったパイオニアです。実際に以下のような制度を設けたことにより、利益率も大きく上昇しています。

・フリーアドレス制度
フリーアドレスとは、1日の始めに席の種類(ソロ席、集中席、コミュニケーション席)を社員自身で決め、その席の種類のなかからランダムで席が決められる制度のことです。部門や役職を越えて毎日ちがう人と隣になるこの制度でコミュニケーション数の増加やアイデアの創出を図っています。

・在宅勤務制度
カルビー株式会社では在宅勤務制度を導入することで、通勤時間の削減、介護や育児との両立を可能にしています。他のメンバーと在宅勤務する日にちを合わせ、出社したときには打ち合わせを行えるようにするといった形で柔軟に制度を使っている人もいるとのことです。出産を機に退職する女性はほとんどいなくなり、女性の管理職比率も大きく上昇しました。

カルビーの主力商品のひとつ「フルグラ」の大ヒットの裏には、この働き方改革があったためとも言われています。菓子業界は景気の影響を受けにくく、比較的安定している業界ですが、それに甘んじることなく改革を行った姿勢が高い評価を受けています。

注目を集める働き方改革!就活生ならきちんと理解しておこう

現在数多くの企業で進行中の働き方改革は大きな注目を集めています。面接のなかで意見をきかれる可能性もあるかもしれませんし、企業選びの1つの基準にするのもいいでしょう。各企業の今後の動向にも注目し、情報収集しておくことが大切です。就職活動を進めながら企業の働き方改革について理解を深めておきましょう。

参考

[1]働き方改革実現会議
[2]http://www.kantei.go.jp/jp/singi/hatarakikata/
[3]2017.10.9

関連リンク

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著者:沖 圭祐

関西在住のライター、キャリアコンサルタント。 総合大学卒業後、大学受験予備校で進路相談の職員を経験。大学職員として勤務した後、ライター、キャリアコンサルタントとして独立。 現在では就職活動、転職活動、働き方といった分野を中心に記事を書いています。履歴書、エントリーシート、小論文作成のアドバイスや添削といった仕事もしています。食べることが大好きで、お土産やグルメの記事も執筆中。教員免許や国家資格であるキャリアコンサルタントの資格も所持しています。