理系だけど文系職目指して就職活動ってアリ?目指せる職種は?

文系職種への理系出身者のニーズは年々高まっています。ビッグデータを取り扱う際に強みになったり、統計・分析スキルが買われたりすることが多いためです。理系から文系就職するメリットや注意点、就職活動のコツをご紹介します。

理系が就職活動で文系就職を目指すメリットとは?

理系出身者がメーカーなどの営業、企画、マーケティングなどの職種に就くケースが増えています。製品の高度化や、あらゆる業種でのIT化が進んだために、顧客と研究・開発部門との橋渡しを行うための専門知識を持った技術営業や企画専門職といった職種のニーズが高まっています。
例えば、メーカーの営業職は取引先から商品について詳細に聞かれることもあり、その際に理系である強みが活かせるためです。これらの職種には修士でも学部卒でも応募のチャンスがあります。

さらに、文系の代表格と言われているような職種にも、たくさんの理系出身者がいます。法務部で契約や特許などを担当したり、総務部でシステム管理を行ったり、広告制作などのクリエイティブに携わっている先輩もいます。文系出身者でも就くのが難しい経営コンサルタントなどの職種にも理系出身者が進出しています。これは、経営コンサルタントに求められる能力である思考力の高さや論理的に考えられる力が、理系学生だと鍛えられやすいという理由からです。

文系就職をする理系出身者には、大きな金額を動かしたり、大型案件を推進したりすることでダイナミックにビジネスを体感することができるというやりがいを追求する人が多いようです。現実的にも、昇進が早い傾向にあることや、成果に応じてボーナス以外にインセンティブ(報酬)や業務手当が支給されるケースがあることがメリットとして挙げられます。
さらに、自分が得意とする分野以外の専門的な知識も、文系企業に就職して身につけることにより、分野をかけ合わせたイノベーションを将来的に生み出せる可能性があるでしょう。特化する分野が多ければ多いほど、有能な人材としてのニーズが高まり、キャリア形成にも効果的です。

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就職活動で理系が文系就職するデメリットとは?

理系学部・理系学科の人が文系職種に就いても、入社後に必ずしも不利になることはありません。ただし、卒業までの学業との両立には、デメリットもあります。ほとんどの企業が文系学部・学科の人の学業を前提に選考過程や入社までのスケジュールを組んでいるため、多くの理系学生が不便を感じているのが実情です。

まず、選考にあたっては、文系職種の場合、4次選考や5次選考まで設けているケースが多くあります。その理由は、文系職種が「ポテンシャル(潜在能力)採用」という手法をとっており、書類で判別できるスキルや資格ではなく、人の適性を見抜くことを専門とした面接官が、さまざまな観点から面接を繰り返して合否を決めるためです。そのため文系職種では、1社に費やす時間が長くなります。

また、公務員試験や教員試験では不採用だった優秀な学生を採用したいという企業が増えており、「秋採用」として9月前後に内定の第2のピークを持って来る企業が増えています。この「秋採用」の時期は、理系の学生にとっては院試の期間と重なってしまいます。大学院進学と就職のどちらも視野に入れている人は、院試に支障をきたさないよう、早めに企業の内定を取っておく必要があります。

また、内定を取れれば再び研究に専念できるとは限りません。文系職種に必要なスキルは会社が育成するという方針の会社が多いため、内定期間中に、研修やeラーニング、レポートなどが課される場合が多いのです。マーケティングや簿記などを学んだことのない理系学生の場合、これらの学習には文系学生以上の時間がかかってしまうことも認識しなければなりません。
卒業研究と内定者学習が両立できるよう、綿密にスケジュールを立てるとともに、内定した会社の採用担当者に、卒業研究とのスケジュールが重複しないよう、自分から相談することが必要です。

理系が文系職を目指して就職活動をするなら志望動機を万全に!

理系学生が文系職種を目指す場合、志望動機、特にどんな仕事がしたくてその職種に応募したかを考えることは非常に大切です。製造に興味がないからなど、消去法で文系職に応募している場合は、志望動機のさらなる掘り下げが必要です。企業側からすると、「理系なのになぜ文系企業を志望したのか」が気になる部分でもあるため、ポジティブな動機で志望したことを伝えるようにしましょう。

例えば、プリセールスやセールスエンジニアのように、顧客を担当しながらも研究・開発部門との関係が強い場合は、会社によっては営業系総合職ではなく技術職として採用している場合もあります。
また、「英語を使いたい」「海外で活躍したい」という希望が強い場合も、技術職として専門性を高めながら通訳・翻訳ができるエンジニアを目指せる会社や、海外案件を強みとするエンジニアを積極的に育成している会社もあります。
いずれにしても、面接の場で具体的な希望を伝えることができれば、理系職のほうがマッチしている場合、企業側から方針転換するようその場でアドバイスが受けられることもあります。

一方、会社経営の根幹部分(総務、人事、経理など)でスペシャリストになりたいという希望が固まっている人もいるでしょう。そのような人の中には、文系のゼミでトークやプレゼンの能力を磨いてきたライバルにはかなわないのではないかと、不安を感じている人もいるかもしれません。
特にグループ面接やグループディスカッションで、文系学生と一緒に選考を受ける場合は、最初は司会者のようなリーダー役を無理に取りに行かず、文系学生の言動をよく観察すると良いでしょう。初めは書記のように、全員の意見を聞いて分析し、要領よく整理するような論理的なスキルをアピールしたり、リーダーを補佐する参謀役として意見を述べ、チームワークを見せたりするほうが、グループワークに馴染みやすいかもしれません。

理系が文系就職する際に就職活動でよく聞かれる質問をチェック

文系職種で頻出の質問の1つに、「チームで物事に取り組んだ経験と、その役割」があります。文系職では斬新なアイデアや個性が重視されるようなイメージがあるかもしれませんが、実はあらゆる文系職で共通して重視される能力が「調整能力」です。スケジュールや予算の調整など、段取りが得意ということももちろんですが、関係者の意見を聞いて全員の要望をうまく反映すること、スケジュールの遅れなどの問題が発生した時にうまく解決すること、後輩に気を配ってフォローすることなど、メンバー間の調整が得意ということをうまくアピールするようにしましょう。

また、自分の強み、弱みを簡潔に話すという質問も頻出です。文系職の場合、技術的なスキルや知識とは別の観点で、人間的な強み、弱みを分析することが必要です。学校のキャリアセンターが主催するセミナーなどで体系的な自己分析の手法を学ぶことができれば、ぜひ参加してみてください。機会がなければ、「エニアグラム」や「EQ(こころの知能指数)」のように、企業の研修でよく用いられる手法を書籍などで学んでみるのも参考になるでしょう。

理系におすすめの文系職その1 営業・企画

理系出身者を営業・企画職として積極的に採用している業種には、メーカーや技術系商社、IT企業・システムインテグレーター、ゼネコンやエンジニアリング企業などがあります。いずれも専門知識があったほうが深い商談ができ、製品引き渡しまでのお客様とのやりとりもスムーズにできることが評価されています。

企業選びにあたっては、必ずしも現在の研究分野と業種を一致させる必要はありません。主に理論研究・文献調査をしていた人も、文系職種なら「実験をしていないからスキル不足」と評価されてしまう心配なく、理系で培った知識を有利にアピールすることができます。

理系出身者は、実はクリエイティブ業界とも相性がよく、感性一辺倒ではなく論理的な分析が得意であることが評価されています。広告代理店やIT系制作会社、ゲーム会社などで営業・企画職に就く人もいます。
さらに最近、需要の高まりを見せているのが流通業です。ネット通販大手だけでなく、既存の小売業各社がEC(eコマース)事業を伸ばすことを至上命題としており、技術的な観点から新しい機能や利便性を高める施策を企画できる理系出身者を歓迎しています。

このように、理系出身者は幅広い業界で活躍しています。会社案内や採用ホームページの社員紹介をよく読んでみましょう。自分と同じ出身学部の先輩がどのような仕事に就いているのかが分かれば、自分に向いた仕事を考えるうえでも役立つはずです。

理系におすすめの文系職その2 金融系

金融業界の最近の人材ニーズは、フィンテック(ITを活用した先進的な金融サービス)の要員です。フィンテックの新規事業を立ち上げるための市場調査や事業企画といった文系職種に、理系出身者が数多く採用されています。

ビッグデータを活用した金融商品企画でも、理系出身者が貴重な戦力です。顧客の取引履歴などの膨大なデータをもとに新たな施策や企画を創出していくにあたっては、ITとの連携が欠かせません。統計学の知識がある人や、研究の中で何らかのデータ収集・分析経験のある人は高く評価されるはずです。

これまでは、理系出身者は数理設計や確率論によるリスク評価業務などの専門職に就くことが一般的でしたが、最近は理系出身者も銀行の法人(リテール)営業に積極的に採用されています。最近の法人営業では、顧客企業の財務分析が重視されるため、数字に強いことを活かせして活躍することができるのです。銀行の中でさらに、運用部門のファンドマネージャーなどに昇格する理系出身者もいます。
金融業界は法学部や経済学部、商学部の出身者が中心になって活躍するところというイメージがあるかもしれませんが、このように中核事業から新規事業まで、さまざまな分野で理系学生を対象とした採用が行われていますので、じっくり企業研究をしてみてはいかがでしょうか。

理系におすすめの文系職その3 コンサルタント

コンサルティング会社やシンクタンクでは、理系学生の採用が活発です。理系職種としては、統計・分析スキルを活かせしたデータサイエンティストやアナリスト、ITスキルを活かせしたITコンサルタントが代表的なものですが、文系職種に挑戦することももちろん可能です。

具体的な職種を見てみましょう。まずは、経営陣に代わって企業の経営改革を行ったり、マクロ経済(経済全体あるいは業界としての大きな流れ)の観測などを行ったりする経営コンサルタントがあります。
企業の経営層や行政に提言を行う戦略コンサルタントや、人事、会計、製造、販売などの業務プロセス改善に関わる業務コンサルタントの道もあります。
中小企業の経営サポートを行う中小企業診断士にも理系出身者が数多くいます。学生時代に経営学をまったく勉強していなかった人も、コンサルティング会社に入社後に中小企業診断士の資格を取得するケースも多く、会社が資格取得を奨励してバックアップしてくれる例もあります。
戦略コンサルティングファームや一部の総合系コンサルティングファームでは、MBA(経営学修士)や商学修士などが採用条件とされたり優遇されたりする場合があります。また、外資系コンサルティングファームでは非常に高度な英語力が求められる場合もあります。

一方、全学部・学科を対象とした求人であれば、経営に関する知識がなくても就職活動で必ずしも不利になることはありません。
というのも、コンサルの基本的な素質は「思考力」であるというのが定説になっています。知識や方法論を知らなくても、頭の中だけで問題に対する解決策を考えることができる人のことです。
他にも、膨大な文献を読みこなせる読書・読解能力や、知的好奇心・学習意欲、顧客との関係性をスムーズに構築できる人間力、頭脳を酷使する型のハードワークに強いことなどがコンサルタントに求められる資質となります。

これらの資質は理系学部・学科での研究活動でも十分に培われているはずです。自信を持ってアピールしましょう。

理系でも自信を持って文系職に応募しよう!

理系から文系就職のチャンスは大いにあります。就職活動の方針には、大きく分けて研究を通して身につけた知識や統計・分析スキルを活かせして専門性のある営業・企画職を目指す道と、ポテンシャル採用と呼ばれる適性を見極める選考を突破し、入社後に新たな能力を身につけてビジネスの根幹で働く道があります。
文系職種の選考過程は長期化することが多く、理系学生が研究と両立して就職活動をするには不都合な面もあります。そのため、やりたい仕事内容を明らかにし、自分に合った企業・職種とできるだけ早くマッチングを果たすのが就職活動成功のポイントとなるのです。

参考

[1]日本エニアグラム学会 | エニアグラム──自己成長とコミュニケーションのための人間学
[2]https://www.enneagram.ne.jp/
[3]2017.9.28

[1]EQグローバルアライアンス : EQ理論提唱者監修によるEQ検査を開発・提供。人事戦略・組織風土改革など人事コンサルティングを実施。
[2]http://eq.armg.jp/
[3]2017.9.28

関連リンク

理系学部出身者で、文系就職のクチコミ・掲示板 - みん就(みんなの就職活動日記)
理系で金融業界に興味のクチコミ・掲示板 - みん就(みんなの就職活動日記)

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著者:杉本 京子

産業カウンセラー/日本プロジェクトマネジメント協会(PMAJ)プロジェクトマネジメント・スペシャリスト
都内私立大学にて非常勤職員の傍ら、職業訓練講師や面接指導に従事。新卒・既卒者を対象に年間延べ100人以上の個別面接練習を行っている。