業界研究を種類別に解説!どんな目的で業界研究をすればいいの?

世の中にある業界をいくつかの種類に分けると、それぞれの特徴が見えてきます。まだ就活を始めたばかりで、志望業界が決まっていない人は必見です。ここでは、どんな目的で業界研究をすればよいかについて、ご紹介します。

メーカー系の業界研究内容

「メーカー」と一言で言っても、さまざまな業界があります。しかも、業界間は無関係ではなく、相関関係にあるところも多いため、きちんと研究する必要があります。

<どんな業界?>
徹底したコスト削減と構造改革をしている企業が生き残り、業界内でもイニシアチブを取っています。日本国内での伸び悩みを払拭するために積極的な海外進出やM&Aを展開しているメーカーもあります。

移りゆく政治背景の中で新市場へ向けたイノベーションを起こしているメーカーは、以下のように分類されます。

<分類>
(1)電機・重電・コンピュータ・電池
(2)半導体・半導体製造装置
(3)電子部品
(4)精密機器
(5)工作機械
(6)建設機械
(7)造船・重機・鉄道車両・航空宇宙
(8)自動車・二輪・タイヤ
(9)鋼鉄・非鉄金属・セラミック・セメント・紙・パルプ
(10)化学・繊維
(11)化粧品・生活用品
(12)食品
(13)飲料
(14)医薬品

<業界の傾向>
このように大きく分けても、メーカー自体が14の業界に分類することができます。分類してみたら、その後はメーカー間の関係について整理してみましょう。

例えば、化学メーカー、鉄鋼メーカーなどの”素材”を扱うメーカーは、ゴム・ガラス・非鉄金属などの、製品のもととなるような”素材”をつくり出すことが仕事です。一方で、素材メーカーで生産されたモノを加工したり、組み立てたりすることを仕事としているメーカーがあります。食品、自動車メーカーは、素材メーカーがつくったもので”組み立てる”ことが仕事です。

このほかにも、自社生産したり、加工をしたりするメーカーがあります。自社生産系で代表的なのは、化粧品メーカーや医薬品メーカーです。

このように、【素材をつくるメーカー】【組み立てるメーカー】【自社生産するメーカー】というような関係が、メーカーの中でも成立しているのです。

<注目すべき研究ポイント>
メーカーでは、自分がどんな仕事に携わりたいのかという目的意識が必要です。
自分が【素材をつくりたい】のか、【素材から組み立てたい】のか、はたまた【自分でイチからつくりたい】のかによって、業界研究の内容も変わってくるでしょう。

f:id:hito-contents:20171011103956j:plain出典:写真AC

サービス・インフラ系の業界研究

<どんな業界?>
サービス・インフラ業界とは、教育、福祉、レジャー、旅行、外食などの各分野でサービスを提供する「サービス産業」と、鉄道、航空、空港、電力・ガスなどの社会の基盤となるような仕組みや施設を提供する「インフラ産業」で成り立っています。サービス・インフラ系も、メーカーほどではないですが、細分化することができます。

<分類>
(1)フードサービス
(2)映画・レジャー・アミューズメント
(3)マスコミ
(4)旅行・ホテル
(5)教育
(6)コンサルティング
(7)人材サービス
(8)高齢者サービス
(9)鉄道・航空・空港・電力・ガス

<業界の動向と傾向>
サービス・インフラ系について業界研究する場合、やはり重視したいのは需要の増大でしょう。景気回復とインバウンド(訪日旅行者)の増加がどれほど影響するのかをよく考えて業界研究を行う必要があります。

<注目すべき研究ポイント>
ネット系企業の伸長によって、経営が悪化する可能性のあるサービス・インフラ系企業もありますから、ネット系進出によって悪影響の少ない、もしくは好影響を受ける業界に注目しながら業界研究を行いましょう。また、自分がどの方向から人々の暮らしを支えたいのかを明確にするという目的を持つことも大切です。

小売の業界研究

<どんな業界?>
小売業界は、一般の消費者を相手に、さまざまな物品を販売したり、サービスの提供を行ったりしています。

<分類>
小売業界の中には、

(1)スーパーマーケット
(2)コンビニエンスストア
(3)百貨店
(4)専門店

などが含まれています。

<業界の動向と傾向>
小売業界は、消費者物価の上昇によって個人消費が伸び悩んでいることから、富裕層と一般消費者の二極化が進行しています。

インバウンド(訪日旅行者)の消費を取り込めたドラッグストアや百貨店も、インバウンドが落ち着きを見せ始めた2017年以降は、これまでのような伸びは期待できないかもしれません。

スーパーは、高齢社会へ対応するための構造改革を行っており、高齢者のひとり暮らしを支えるお惣菜の販売などにも力を入れています。

小売業界はこのように、低迷と呼ばれている中でもさまざまな工夫を行っています。
ただ、スーパーのセルフレジを見てもわかるように、コスト削減の意識が強く、消費者がネット通販を利用することが常識となった現在、スーパーでもネット宅配サービスを導入するなど、柔軟な対応が求められています。

<注目すべき研究ポイント>
小売業界を研究する際は、業界の動向などから、デメリットばかりが目立つ傾向にあります。しかし、厳しい環境の中でも業界内で工夫されていることにも着目しましょう。
小売業の業界研究をする際は、厳しい状況を打破している企業に注目し、今後の小売業のポジティブな展開に必要なことも含めて業界研究を行いましょう。
また、自分が何をどのような方法で売りたいのかをハッキリさせるという目的を持った業界研究を行う必要があります。

金融系の業界研究

<どんな業界?>
個人や企業にお金を貸すなどのイメージが強い「金融業界」ですが、現在では証券、保険なども「金融業界」に含まれています。政府の金融緩和を背景に金融業界にも業績回復の兆しがあり、再注目されている業界です。

<分類>
(1)銀行
都市銀行、メガバンクに加えて、ネット銀行も勢いを増しています。

(2)証券
有価証券の取引・売買などを行っています。

(3)保険
生命保険、損害保険などを含みます。

(4)信販・クレジットカード・その他金融
上記以外の金融を取り扱う企業を含みます。

<業界の動向と傾向>
(1)銀行
預金という形で集めた資金を企業や個人に融資し、利を得るのが基本です。ネットやスマホの普及によって追い風のネット銀行は、シェア拡大競争が激化しています。

(2)証券
こちらもネット系が手数料無料、取引機能などの差別化を図り、従来の証券業界のイメージを変えつつあります。

(3)保険
損保は積極的な海外展開を見せていて、一層の成長を目指してます。海外事業で突破口を見出そうとしている生保企業もあります。

(4)信販・クレジットカード・その他金融
本格的な業績回復に入った消費者金融を後目に、リースは国内で伸び悩みを見せています。金融というイメージから浮かびにくいリース業界では、伸び悩みの活路を海外展開によって見つけているところもあります。

お金、保険、モノが行き来する金融業界。報酬の高さはもちろんですが、世界情勢もストレートに反映される業界ですから、日々グローバルな視点で世界を観察できる人に向いているといえるでしょう。

<注目すべき研究ポイント>
同じ金融業界でも、取り扱うモノが異なります。お金なのか、株式なのか、保険なのか…分類された4つのうち、金融業界の何を動かしていきたいのか、また、将来性とやりがいがマッチする対象が金融の中の何なのかを知るという目的で、業界研究を行いましょう。

マスコミ・出版・広告系の業界研究

<どんな業界?>
さまざまな情報を発信しているマスコミ・出版・広告業界。正確には、マスコミという大きなくくりの中に、出版業界と広告業界が含まれているのをイメージしてみてください。

企業や官公庁が発信した情報について、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌・チラシ・書籍・インターネットなどのさまざまな形態で世の中に広く伝える業界です。

<分類>
(1)出版業界
書籍から雑誌などの出版を行います。紙媒体よりも、近年では電子化にともなって書籍のデータ化が急激に進んでいます。

(2)広告業界
幅広いメディアにおいて企業の広告を行います。総合広告代理店と専門広告代理店があり、イベントや商品を世の中に知ってもらうためのさまざまな活動を行っています。

<業界の動向と傾向>
出版業界は情報伝達という非常に重要な役割を担う業界ですが、ここ数年は電子出版市場だけが拡大しているだけで、出版業界としては前年割れが継続しているのが現状です。
一方、広告業界ではテレビ、新聞、雑誌、インターネットと、広告の媒体は複数挙げられます。そんな中でも業績が伸びているのが、インターネット広告です。


<注目すべき研究ポイント>
業績のほかに、自分が携わりたいメディアは何なのか、そしてそのメディアで何を成し遂げたいのかというビジョンをハッキリさせる目的で業界研究を行いましょう。

商社の業界研究

<どんな業界?>
日本では卸売業として分類される商社。幅広い取扱商品と多彩な事業領域を持つ総合商社は、時代の流れを敏感にキャッチし、主力となる事業を柔軟に転換させています。近年は食料や環境、医療分野などの新規市場開拓にも熱心なのが総合商社です。

<分類>

商社は大きく【総合商社】と【専門商社】に分類されます。

(1)総合商社
世界で通用するバリューチェーンを構築し、環境・医療・食料といった非資源分に積極投資しています。風力やバイオマス発電などの再生エネルギーや、農業、食料、医療に注力しているため、これらに携わりたいという人には総合商社が向いているかもしれません。

(2)専門商社
特定分野に特化する強みを活かしながら、役割と機能を進化させています。商流の中にある潜在ニーズや新技術、市場の動向などの情報について興味があり、また仕事としてやっていきたい、という人に向いています。

特定分野の商流で活躍する専門商社はスペシャリストとして、商流のあらゆる流れで付加価値を探し、提供を行っています。新ビジネスを開始したり、市場をつくったり、専門商社も進化を続けているのです。

<業界の動向と傾向>
ここ数年の商社業界は過去最大益を更新し、特に総合商社においては好調な業績の企業が多くなっています。その理由は、近年の商社が輸入・輸出等のトレードに関わるにとどまらず、資源・エネルギー関連への投資を積極的に行っており、利益につながっているからです。
この傾向はこれからもよほどのことがない限り崩れることはなく、商社業界は成長性と安定性と兼ね備えた状況になっています。

<注目すべき研究ポイント>
まず研究すべきは総合商社と専門商社の違いでしょう。
将来性は問題がないことは十分わかっているのですから、業界研究ではその先を考えましょう。つまり、「手広く・大きく」なのか「こだわりのモノをわかる人に」なのか、商社マンのスタイルを明確にすることを目的としながら研究しましょう。

官公庁・公社・団体系の業界研究

<どんな業界?>
官公庁とは、国と地方公共団体の役所のことで、一般的に「公務員」がこれに該当します。公社・団体は、学校、病院など、民間企業ではできないような公的事業を行っていて、その背景には必ず「国」という大きなくくりがあります。

<分類>
(1)裁判所
(2)国会
(3)日本銀行
(4)中央省庁
(5)学校
(6)病院


<業界の動向と傾向>
官公庁業界の今後の課題は、2020年の東京オリンピックなどを控え、民営化の動きがさらに活発化する可能性があることです。また、海外の国際競争の影響を受ける可能性もあります。

<注目すべき研究ポイント>
官公庁や公社・団体について業界研究を行う場合に参考にしたいのは、各省庁・各団体などの活動報告です。公式webサイトにある年次報告などの報告書を読んでみて、自分がしたい!と思うような仕事内容の場合は、官公庁・公社・団体業界に向いているのかもしれません。

官公庁業界の研究をする場合、このように国が背景に構えている中で、「この分野で国に貢献したい!」「ここなら自分の特性を活かせる!」という場所を見つけるという目的を持って行いましょう。

業界研究を就職活動に活かそう!

業界研究を行うなら、自分がこれから就職するにあたって、興味のある業界の「これから」と「現時点での実情」を知るという目的を持って行いましょう。どちらもあなたが就職し、キャリアを形成していく上で重要なことです。自分に適した仕事を見つけ、入社後のビジョンを明確にするためにも、深い業界研究を行いましょう。

関連リンク

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著者:小室直子

臨床発達心理士
中級教育カウンセラー
東北福祉大学大学院修士課程卒業後、専門学校専任講師、大学の非常勤講師として心理学系科目の講義を行うかたわら、のべ200名の就職支援の経験を持つ。