IT業界研究と言われても、具体的にどのようなことをすれば良いかわからない、といった悩みを持つ人は少なくないでしょう。この記事では、IT業界でトレンドとなっている技術や必要なスキルについて書いています。この記事を読んで、IT業界への理解を深めましょう。
「IT業界は高収入が見込めるけど、技術革新も激しいからトレンドの研究がとても大変なのでは?」
「IT業界は技術革新が激しいだけでなく、新しい用語や聞きなれない用語も多いから、全体像を把握するだけでも一苦労しそう」
このように感じている人は、少なくないのではないでしょうか。
この記事では、IT業界のトレンドや主な職種などについて、それぞれ具体的に紹介しています。そのため、この記事を読めばIT業界の実状について理解することができ、就職活動や転職活動の際の業界研究に役立てることができます。
また、IT業界のことを理解するための足掛かりにもなるため、読み終えたら更に理解を深めるための、業界研究を行いましょう。
IT業界の現状
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IT業界とは、情報技術を利用した商品やサービスの提供の他、ITを利用するための環境の整備などを行う業界です。
具体的には、システムやアプリケーションの提供、ハードウェアの設定・整備などを行う企業群のことを言います。
ここ10年ほどで、一気に世界的大企業に成長したという企業も珍しくありません。新興企業が日本だけでなく、世界中で次々と誕生している業界でもあります。
人材不足の深刻度
特に、日本のIT業界では人材不足に悩まされており、供給が需要を上回る見込みがないため、解決の見込みも立っていません。
営業や事務員よりもプログラミングや設計などを行う、プログラマーやエンジニアの数が圧倒的に足りません。
また、頻度の高い技術革新についていくことのできるエンジニアや、成熟したスキルや知識を持つエンジニアの数は更に少なくなります。
未経験でもIT業界は目指せるのか
深刻な人材不足という背景もあるため、業界はIT未経験の人でも積極的に採用する傾向があります。
大学で学んだ分野が理系や情報系の学問ではなく、歴史や文学などの文系の場合でも、IT業界を目指すことは十分可能です。
未経験からIT業界を目指す場合はポテンシャル採用となるため、その人が持っているキャリアプランや成長意欲が重視されるでしょう。
IT業界のトレンド
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激しい技術革新が背景にあるため、IT業界のトレンドの移り変わりも激しいです。
最近では、リモートワークやオンライン授業など、インターネットを利用した技術やサービスが急速に普及したことを背景とする、新たな技術やサービスも注目されています。
最新のIT業界やIT技術に関するトレンドをよく研究し理解することで、IT業界への就職活動の成功の可能性を上げることが可能になります。
業界研究の際は、注目されている用語や技術に対して重点的に対策を行うと良いでしょう。
デジタルトランスフォーメーション・デジタルディスラプターの拡大
デジタルトランスフォーメーションとは、デジタル技術を浸透させることで人々の生活をより良くするために、既存のサービスなどを変革していくことです。
また、それに合わせて既存の秩序などを壊していくことにもなるため、このようなプレイヤーをデジタルディスラプターと呼びます。
デジタルディスラプターは多くの場合、ベンチャー企業や新興企業になります。
IoT(モノのインターネット)の普及・浸透
IoTとは、あらゆる物体が端末となってインターネットとつながり、情報をやり取りするという意味です。
IoTが普及することで、情報収集の効率性が飛躍的に上がるため、それまで以上にビジネス活動の効率性も上げることができます。
IoTを利用したサービスなどをビジネス活動の主軸においている、IT企業やベンチャー企業も少なくありません。
クラウドサービスの拡大・導入
クラウドサービスとは、インターネットを通してサーバーやソフトウェアなどのサービスを提供するという意味です。
企業でクラウドサービスを利用する場合、初期投資にオンプレミスのように高いお金をかける必要がなくなります。
オンプレミスの場合、サーバー自体のお金だけでなく、ハードウェアを管理する人の人件費やハードウェアを設置する場所も必要です。
しかし、クラウドサービスの場合は上記のような心配がほとんど必要なくなるため、より本業のビジネスに集中できるようになります。
AI(人工知能)・ビッグデータの実用化
AIはセキュリティや医療など様々な分野で活用されていますが、ビックデータと活用することで更に活躍の場が広がる可能性があります。
膨大なデータから適切なデータを正確かつ高速に見つけ出すのは、人間より機械の方が得意です。
AIをビックデータと共に活用することで、一つのタスクに対する時間と労力を大幅に削減することが可能になります。
5G(第5世代移動通信システム)の普及
5Gを活用することで、大量の情報を高速かつ正確に、しかも同時接続可能でやり取りすることができます。
大量の情報を高速かつ正確に行うことで、スポーツ観戦などの臨場感を高めるだけでなく、遠隔操作の精度なども高めることが可能になります。
前述したIoTやAIの技術などと組み合わせることにより、更に生活を便利なものにすることができる技術です。
ブロックチェーンの拡大
ブロックチェーンとは、時系列に沿ってデータを記録する技術のことで、主に仮想通貨のシステムに利用されてきました。
最近では仮想通貨のシステムだけでなく、商品の流通経路や電力の発電元の確認など、様々な分野で利用されています。
セキュリティに優れており、記録の改ざんが難しいため、ブロックチェーンが活用される分野や業界は更に広がる可能性が高いです。
IT業界研究で確認しておきたい事業分野
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IT業界と一口に言っても事業分野は幾つもあるため、業界研究もその分野に合わせて行わなければなりません。
それぞれの業界で、企業が採用しているビジネスの形態や従業員の働き方、仕事内容は異なります。
また、企業のビジネス形態によっては、複数の分野を組み合わせたサービスや商品を提供している場合もあります。
インターネット・Web分野
インターネット・Web分野は、企業向けの取引と一般消費者向けの取引の、合計二つの分野が存在します。
企業向けの取引を行っている企業は、ホームページの制作やネットワークの構築などを行っています。
一般消費者向けの取引を行っている企業は、オンラインショッピングやブログの運営などをビジネスとして行っている企業が多いです。
ネット環境の整備が進み、世界中の人と取引できるような環境が整ってきたため、一般消費者向けの取引は今後も成長する可能性が高いでしょう。
情報処理サービス(SI)・情報通信分野
情報処理サービス、または情報通信分野に属している企業は、システムインテグレーション業務を主な業務にしています。
システムインテグレーションとは、要件定義からプログラミングなどの開発業務、テストや保守運用の業務まで担当する業務形態です。
また、情報処理サービスや情報通信分野は、更に細かく分けるとメーカー系・ユーザー系・独立系の3つの系統があります。
ソフトウェア分野
ソフトウェア分野には大きく分けて、基本ソフトウェアを作る企業とアプリケーションソフトを作る企業があります。
基本ソフトウェアはオペレーティングシステムとも呼ばれ、パソコンを起動させて操作するのに必要不可欠なソフトです。
アプリケーションソフトは、ゲームや仕事など、特定の目的のために使用されるアプリケーションのことを意味しています。
ハードウェア分野
ハードウェア分野は、コンピュータを構成している電子部品や、その周辺機器の作成や整備を業務として行っている分野です。
パソコンだけでなく、スマホやタブレットなどを作成する企業も、ハードウェア分野に属しています。
ハードウェア分野の企業についても、企業向けのサービスを提供している企業と一般消費者向けのサービスを提供している企業があります。
IT業界で将来性が見込まれる職種
日本はどの業界の企業も深刻な人手不足に苦しんでいますが、IT業界に属している企業は特に深刻です。
従って、逆に言うとIT業界の多くの職種は、高い将来性を見込むことができます。
システムエンジニアやプログラマーなどの開発系の職種だけでなく、営業やコンサルタントとして働くことも可能です。
しかし、営業やコンサルタントなどの職種についても、ITの知識は業務を行う上で必要不可欠になります。業界研究を行う際は特定の職種だけでなく、複数の職種に対して行う必要があるでしょう。
システムエンジニア
システムエンジニアの業務は、クライアントの要望に沿ってシステムの要件を定義し、設計をします。
実際に手を動かしてプログラミングをし、ソースコードを書くわけではありませんが、業務を遂行するにあたってプログラミングなどのITの知識は必要不可欠です。
また、クライアントと頻繁に打ち合わせをして認識を合わせる場合も多いため、コミュニケーション能力についても高いレベルで求められます。
プログラマー
プログラマーはシステムエンジニアが作成した設計書を基に、プログラムのソースコードを作成する職種です。
プログラミングについてのスキルは勿論必要ですが、それ以外にもネットワークやコマンドについての知識もあれば、業務をより効率的に進めることができます。
なお、開発手法にアジャイル開発を取り入れている場合は、プログラミングなどの開発業務だけでなく、テストや設計書の修正なども行うことがあります。
コンサルタント
コンサルタントは、自社のITサービスやITソリューションを用いて、クライアントの企業の悩みや課題を解決する職種です。
コミュニケーション能力は勿論、ITの知識や論理的な思考能力も業務を遂行する上で、高いレベルで求められます。
前述したシステムエンジニアやプログラマーからコンサルタントに転向する、というパターンも珍しくありません。
営業職
IT業界の営業職は、情報システムやソフトウェアの開発や導入など、ITビジネスに関する営業活動を行う職種です。
コンサルタントの業務内容と似ていますが、行う業務の範囲はコンサルタントの業務内容よりも多岐に渡ります。
営業職はSES企業に勤めている場合、エンジニアやプログラマーの売り込みだけでなく、各種の請求処理やエンジニアの勤怠管理も業務内容に含まれます。
IT業界の魅力
IT業界は深刻な人材不足に悩まされているという事情もあるため、一人当たりの業務の負担量が多い、過酷な業界というイメージが一般的ですが、魅力も数多くあります。
ITに対しての需要は企業でも個人でも高まっているため、業界全体の成長性が高いでしょう。
また、実力やスキルを身に付けることで、給料だけでなくキャリアについてもレベルアップさせることが可能になります。
専門的なスキルを身に付けキャリアアップできる
IT業界で働くことにより、ITに関する専門的なスキルを身に付けることができる、という魅力があります。
また、それに伴いキャリアアップをして、よりレベルと報酬の高い仕事をすることも可能になります。
ITの知識やスキルは万国共通であるため、スキルを高いレベルで身に付ければ、外資系の企業で働くことや外国に住んで働くなどの選択肢を実現することも可能でしょう。
従って、業界研究を行う際は海外にも目を向けるなど、広い視野で行うことが重要です。
市場に新しい価値を創造することができる
IT技術の発展は目覚ましく、技術の流行廃りの移り変わりも激しいですが、その分今まで見たこともないような新しい価値を創造できる可能性が高いです。
IT業界で作る技術やサービスは、社会の課題を解決するものやニーズの高いものが非常に多いです。
そのため、日々進化し続けるIT技術を上手く利用していくことで、新しい価値を継続的に想像していくことが可能になるでしょう。
業界研究を行う際は、IT業界の新興企業や技術についても調査しておくと役に立ちます。
プロジェクトなどにチームで取り組める
IT業界での仕事は多くの場合、複数人でチームを組み、取り組んでいきます。
一人ではなくチームで仕事をすることによって、一人ではできないより規模の大きな仕事をすることが可能になります。
また、チームメイトと切磋琢磨しあうことで、習得しているスキルのレベルを更に高めることも可能です。
順調にキャリアアップをしていけば、マネージメントや経営などの仕事をすることも不可能ではないでしょう。
IT業界に必要とされるスキル・資質
IT業界には沢山の魅力があり、また未経験の人でも働くことが可能であるなどのメリットもありますが、業務を遂行する上で必要とされるスキルや資質も幾つかあります。
後述するようなスキルを習得しておくことで、経験の有無を問わず就職や転職が有利になり、業務をより効率的に処理することも可能になるでしょう。
未経験の人がIT企業へキャリアチェンジする場合は、後述するスキルを伸ばすと就職の可能性を上げることができます。
業界研究を行う際は、スキルや資質にも目を向けることは重要です。
プログラミングの基礎知識を身に付けている
IT業界で働くには、プログラミングの基礎知識を身に付けていることが必要不可欠です。
システム・アプリケーションの設計や要件定義をする際にも、プログラミングの知識があるのとないのとでは、成果物の質に大きな差が生じます。
言うまでもなくプログラマーに至っては、業務を遂行する上でプログラミングの基礎知識は必須です。
長期的・論理的な視点で物事を考えられる
IT業界では頭の中を整理して、物事を矛盾なく順序立てる能力が必要不可欠です。
また、システムやアプリケーション、ハードウェアの設計や要件定義をする際は、保守コスト削減のために長期的な視点で物事を考えることも求められます。
協調性がある
IT業界のプロジェクトは多くの場合、複数人でチームを組んで業務を行うため、協調性があることが必要不可欠です。
チームメンバーと適切にコミュニケーションを取ることで、業務を効率的に処理することができ、更に無駄なストレスも軽減することができます。
物事を適切に理解しわかりやすく伝えるだけでなく、言い方なども注意することで、より円滑なコミュニケーションを取ることができるでしょう。
向上心がある
IT業界は技術革新が頻繁に起こる業界で、技術の流行り廃りの移り変わりが早いです。
従って、常に最新の情報を集め、習得しているスキルや知識をアップデートしようとする向上心は、IT業界で働く上で必要不可欠です。
習得している知識やスキルを最新の状態に保っておくことで、エンジニアとしての市場価値を高い位置で安定させることが可能になります。
情報収集を怠らない
IT業界は技術革新が頻繁で、次々と新しい技術が出現するため、継続的な情報収集が欠かせません。
最新技術の情報をできるだけ早くキャッチアップすることで、他のエンジニアに比べてニーズの高いエンジニアになれる可能性が高くなります。
ビジネスモデルが理解できる
IT業界で働くにあたって、ビジネスの知識も持ち合わせているとよいでしょう。ビジネスモデルを理解できるようになると、クライアントの業務内容についても理解しやすくなります。
コンサルタントや営業だけでなく、エンジニアやプログラマーも、クライアントのビジネスについて理解しておくことは重要です。
IT業界研究を丁寧に行い就職活動に挑みましょう
出典:PIXTA
IT業界は今後も高い成長が見込める、将来性のある業界の一つです。業界研究を行うにあたって多くの準備が必要ですが、その苦労に見合うメリットがある業界です。
丁寧な業界研究をして就職活動を行えば、希望の企業に合格して充実した生活を営める可能性が飛躍的に上がるでしょう。

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