ICT業界とはどのような特徴を持った業界なのでしょうか。本記事では、ICTの基礎知識やICT技術の活用シーン、就活生がICT業界を目指すメリット、ICT業界に向いている就活生の特徴などを紹介していきます。ICT業界に興味がある方は、ぜひ参考にしてください。
「ICT業界ってどんな業界のこと?」
「ICTとITには具体的にどんな違いがあるの?」
このように、ICT産業についてさまざまな疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、ICTの基礎知識やICTとITとの使い分け方などを紹介していきます。
本記事を読むことで、日本のICT産業について把握できます。また、就活生がICT業界を目指すメリットやICT業界の分類、ICT業界に向いている就活生の特徴なども解説しますので、ICT業界への就職を視野に入れている方も参考にできるでしょう。
就活生がICT業界を目指すメリットについて詳しく知りたいと考えている方は、ぜひこの記事をチェックしてみてください。
日本のICT産業はどのくらいの規模があるのか
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日本のICT産業の規模は、2018年時点で99.1兆円で、全産業の9.8%を占めており、産業全体を主要8産業に分けた場合、国産業内では最大規模となっています。
また、2000年時点では116.6兆円となっていましたが、その後のITバブルの崩壊によって情報通信関連製造業を中心に減少しています。
出典:令和2年版 情報通信白書 国内生産額|総務省
参照:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r02/html/nd251110.html
アクセス日:2022.02.18
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就活生がICT業界を目指すメリット|IoTとの違いやITとの使い分け方
Society 5.0と就活生への影響
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Society 5.0とは、これまでの「狩猟社会(Society 1.0)」「農耕社会(Society 2.0)」「工業社会(Society 3.0)」「情報社会(Society 4.0)」に続く新しい社会として提唱されているものです。
Society 5.0は、サイバー空間とフィジカル空間の融合によって経済発展と社会的な問題の解決を両立する社会とされています。そのため、現代の就活生はSociety 5.0で求められる力を踏まえたうえで、将来のキャリアを考える必要があるでしょう。
ICTの基礎知識
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ICTという言葉について聞いたことがあっても、具体的にどのようなものなのか説明できるという方は少ないでしょう。ICTという言葉は、ITとほぼ同じ意味で用いられていますが、近年ではITに代わってICTが使用されるケースが多くなってきています。
そのため、正しい意味を理解して使用するようにしましょう。ここでは、ICTの基礎知識について解説していきます。
IoTとの相違点
ICTは、「Information and Communication Technology」の略で、日本語では「情報伝達技術」と訳すことができます。一方、IoTは「Internet of Things」の略で、「モノのインターネット」と訳される言葉です。
ICTがIoTなどを含めた情報伝達技術を指すのに対して、IoTはこれまでインターネットに繋がっていなかったさまざまなモノがインターネットに繋がる仕組みを指しているという違いがあります。
ICTとITとの使い分け方
ICTは、IT「Information Technology」とほぼ同義の意味を持つ言葉ですが、ITよりも情報伝達が強調されているという特徴があります。そのため、近年ではケースによって使い分けられています。
省庁によってどちらを使うかが異なる
ICTとITはほとんど同じ意味を持つ言葉ですが、ITの場合はコンピュータに関連した技術や仕組みを指すことが多く、ICTは情報を伝達する技術を指します。
また、省庁によってICTとITのどちらを使用するかが異なっており、経済産業省の場合は通信技術を扱うことが多いため「IT」、総務省の場合は情報通信産業を扱うことが多いため「ICT」を使用しています。
国際的にはICTが広まっている
国際的にICTという言葉が広まっていることもあり、日本でも近年ではICTが広まりつつあります。2000年代からは、それまでのITに代わってICTという用語を用いるようになっている事例も多いです。
ICT技術の活用シーン7つ
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近年では、ITに代わる言葉としてICTが用いられており、公共事業などでもICTの活用が進められています。しかし、ICTがどのようなシーンで用いられているのか、具体的には知らないという方は多いでしょう。
ICT技術は、私達の生活の身近なところでも活用されています。ここでは、ICT技術の活用シーンを紹介していくため、参考にしてみてください。
1:サイバーセキュリティ対策への活用
ICT技術は、サイバーセキュリティの分野でも活用されています。ICTの普及によってさまざまなデバイスがインターネットに接続できるようになるため、従来よりも安心で安全なネットワークを構築することが可能になるでしょう。
特に、近年増えているリモートワークでは社内でインターネットに接続するよりも高いセキュリティが求められています。こういったシーンでICT技術を活用することにより、サイバーセキュリティ対策として活用できるようになるでしょう。
2:IoTやデータへの活用
前述のとおり、さまざまなモノがインターネットに繋がるIoTも、ICT技術の一部です。IoTによってスマートスピーカーやスマートウォッチなどから情報が集まるようになれば、ビッグデータとして活用できるようになります。
また、ビッグデータを活用することにより、これまで以上に人々の生活を便利にしたり、新しいIoT機器やサービスの開発につなげたりすることもできるでしょう。
3:教育への活用
近年では、教育現場でもICTの活用が進められています。クラウドを活用したICTシステムを教育現場に導入することにより、地方の学校でも都市部と同じように高度な教育が受けられるようになるでしょう。
また、入院や不登校といったさまざまな事情で学校に来られない子供たちも、クラウドを通して在宅で教育を受けられるようになります。
4:介護への活用
ICTは、介護の現場でも活用が期待されています。現在の日本は、少子高齢化によって介護が必要な高齢者が増える一方で、介護や医療の現場では人手不足が深刻な状態にあります。
しかし、介護の現場にICT技術を活用することにより、介護の業務を効率化して人手不足の解消へと繋げることができます。また、ICTの活用によって、高齢者がより安心して暮らせる社会の実現を目指すこともできるでしょう。
5:地域の活性化への活用
現在、総務省ではICTを活用した「ふるさとテレワーク」という取り組みを推進しています。テレワークを行うことでオフィスに出社する必要がなくなるため、地方に住みながらでも柔軟な働き方を行うことが可能になるでしょう。
このようなICTを活用した取り組みを通じて地方の人口を増やし、地方でも都市部に劣らない生活を実現することを目指しています。
6:カスタマーサービスへの活用
ICTは、近年ではカスタマーサービスにも利用されています。カスタマーサービスとは、契約内容や商品のトラブルといった顧客からの問い合わせに対応する仕事です。
カスタマーサービスにICT技術を利用することにより、よくある質問をデータベース化し、問い合わせ内容に対してオペレーターが見ている画面にリアルタイムに回答を表示したり、一次受けをチャットボットに任せて二次請けから有人対応にしたりすることも可能になるでしょう。
7:リアルタイム配信会議への活用
ICTを活用したリアルタイム配信会議も、近年では多く実施されています。Web会議システムなどを利用することで、参加者がそれぞれ遠隔地にいる状態でもオンライン上で会議を行えるようになります。
パソコンとネットワーク環境さえあれば、必要なときにリアルタイムな会議を行うことができ、後日動画を視聴することも可能になるでしょう。
就活生がICT業界を目指すメリット4つ
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ICT技術は、私達の生活のさまざまな部分に活用されており、ICT業界の市場規模も非常に巨大なものとなっています。
それでは、今後ICT業界を目指す就活生には具体的にどのようなメリットがあるのかについて解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
- 就職して経験を積んだ後は独立しやすい
- 高い給与を望める
- 個人のライフスタイルに応じて働ける
- 人々の日常生活を支えることのやりがいを実感できる
1:就職して経験を積んだ後は独立しやすい
ICT業界では、さまざまな専門的な知識やスキルを習得することができるため、経験を積んだ後はフリーランスのエンジニアとして独立することも可能です。また、身につけたスキルによってはフリーランスのWebデザイナーになることもできるでしょう。
そのため、将来的には独立してフリーランスになることを視野に入れている人にとって、ICT業界で経験を積むことは有効と言えます。
2:高い給与を望める
ICT業界の企業では、専門的な知識やスキルが求められるため、他の職業と比べても高い給与を得られる可能性が高いです。また、ICT業界は実力主義であることから、高いスキルを持っている人ほど給与も高くなる傾向があります。
そのため、経験を積んでキャリアアップし、ITコンサルタントやディレクターなどになればより高い年収を得ることもできるでしょう。
3:個人のライフスタイルに応じて働ける
ICT業界は、他の業界と比べると自由度の高さが特徴となっています。服装が自由である場合や、好きな時間に働けるフレックスタイム制を導入している企業も多いです。
また、オフィスに出社しなくても自宅からテレワークで働ける企業もあるため、そういった企業に就職すれば、自分の好きな時間に好きな場所で働くことも可能になるでしょう。
4:人々の日常生活を支えることのやりがいを実感できる
現在では、インターネットをはじめとしたIT技術は人々の生活に欠かせないものとなっており、多くの人がITサービスを利用しています。
そのため、ICT業界で働くことによって、人々の生活に役立つサービスやシステムの開発に携われることにやりがいを感じられるでしょう。
ICT業界の分類4つ
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ICT業界には、ソフトウェア業界やハードウェア業界、情報処理サービス業界、インターネット・Web関連業界などの種類があります。
ICT業界への就職を考えていても、ICT業界の構造についてよくわかっていないという方も多いでしょう。ここでは、ICT業界のそれぞれの分類について解説していきます。
1:ソフトウェア業界
ソフトウェア業界とは、OSやアプリケーションなどを扱う業界です。代表的なOSとしては、Windowsやmac OS、Linux、スマートフォンで利用されるiOSやAndroidなどの種類があります。
また、アプリケーションの種類には、一般的にパソコンやスマートフォンで利用されるタイプの他に、ハードウェアに搭載されるセキュリティソフトなども含まれます。ソフトウェア業界は、一般的にイメージしやすいプログラマーやシステムエンジニアが活躍する業界です。
2:ハードウェア業界
ハードウェア業界とは、パソコンや周辺機器などのハードウェアの企画や設計、開発などを行う業界です。また、家電やスマートフォンなどのハードウェア内部でシステムの制御を行う組み込みシステムの開発も行うため、ハードウェア業界では組み込みエンジニアが活躍しています。
3:情報処理サービス業界
情報処理サービス業界とは、人々の生活を支える情報システムの構築や運用などを行う業界です。情報システムの構築だけでなく、リリース後の安定した稼働まで一貫してカバーします。
また、情報処理サービス業界の仕事には、クライアント企業へのITコンサルティングも含まれているため、情報処理サービス業界ではITコンサルタントも活躍しています。
4:インターネット・Web関連業界
インターネット・Web関連業界とは、インターネットを利用したサービスなどの提供を行う業界です。近年ではスマホの普及によって、インターネット・Web関連業界は拡大し続けているでしょう。
また、インターネット・Web関連業界の中でも細かいジャンルに分かれており、Webサイト制作や広告、SNSなどさまざまな種類があります。
ICT業界に携わる職種の例8つ
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ICT業界で活躍する職種には、プログラマーやシステムエンジニアなどをはじめとしたさまざまな種類があります。ICT業界への就職を目指す場合は、どのような職種があるのか把握しておきましょう。
ここでは、ICT業界に携わる職種の例を紹介していくため、ぜひ参考にしてみてください。
1:セキュリティエンジニア
セキュリティエンジニアとは、情報セキュリティに精通し、サイバー攻撃などからシステムを守るための対策を行うITエンジニアです。主に情報セキュリティを専門としており、社内のサーバー関連のセキュリティ対策や調査、セキュリティシステムの設計などを行います。
社内ではなくクライアント企業へのセキュリティ対策を提案する職種の場合は、「セキュリティコンサルタント」と呼ばれます。
2:サーバーエンジニア
サーバーエンジニアとは、サーバーの設計や構築、保守、運用などを専門的に行うITエンジニアです。システムの基盤となるITインフラの中でも、Webサーバーやメールサーバー、ファイルサーバーなどのサーバーを扱います。
サーバーエンジニアは、サーバーの用途や規模に合わせてサーバーの性能を決定し、サーバーの設計を行います。また、サーバーの障害発生時の対応やセキュリティ対策を行うことも仕事内容として挙げられるでしょう。
3:システムエンジニア
システムエンジニアとは、クライアントのニーズをヒアリングし、要求分析や要件定義、設計、テスト、保守運用などのシステム開発の一連の業務に関わるITエンジニアです。主にシステム開発プロジェクトの上流工程の業務を中心に行います。
そのため、システムエンジニアには、コミュニケーションスキルが必要でしょう。システムエンジニアが作成した設計書や仕様書をもとに、プログラマーが実際の開発作業を行います。
4:データベースエンジニア
データベースエンジニアとは、データベースシステムの設計や構築などを専門に行うITエンジニアです。また、設計や構築だけでなくデータベースの運用を行うこともあります。
データベースエンジニアの仕事は、システムに合わせた適切なデータベースシステムを設計、構築し、いつでも必要なときにデータを取り出せるように構築することです。
5:Webエンジニア
Webエンジニアとは、アプリケーションやシステムなどを開発するITエンジニアです。Web上で動作するWebサービスの開発を行うことがWebエンジニアの仕事です。
また、Webエンジニアは、ユーザーから見える部分を担当する「フロントエンドエンジニア」と、ユーザーからは見えない裏側の処理を担当する「サーバーサイドエンジニア」に分かれています。
6:Webクリエイター
Webクリエイターとは、WebサイトやWebコンテンツ制作などを行うITエンジニアです。Webクリエイターは、クライアントからヒアリングを行い、HTMLやCSSなどの言語を使用してクライアントのイメージに合ったWebサイトやコンテンツの制作作業を行います。
Webクリエイターには、Webデザインのスキルや基本的なマークアップ言語の知識、SEOなどのマーケティングに関する知識が必要でしょう。
7:プログラマー
プログラマーとは、システムエンジニアが作成した仕様書をもとにプログラミングを行い、システムの開発工程を担当するITエンジニアです。システム開発プロジェクトの上流工程を担うシステムエンジニアに対して、下流工程を担うのがプログラマーとなっています。
プログラマーは、担当する分野によって「アプリケーションプログラマー」や「ゲームプログラマー」などの呼び方をされるケースもあります。
8:ITコンサルタント
ITコンサルタントとは、ITを活用してクライアントの抱える問題を解決するための提案などを行うITエンジニアです。
クライアント企業の業務を含めた、あらゆる情報からクライアントが抱えている本当の課題を理解し、適切な解決策の提案を行うことで、問題の解決を行うことが仕事です。
ITコンサルタントには、高度なスキルが求められることから、システムエンジニアからのキャリアアップとしてITコンサルタントを目指すケースも多いです。
ICT業界に向いている就活生の特徴4つ
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ICT業界には、向き不向きもあります。そのため、ICT業界を目指す場合は、事前にICT業界に向いているかどうか確認しておくことも大切でしょう。
ここでは、最後にICT業界に向いている就活生の特徴を紹介していきます。
- コミュニケーション能力がある人
- ものづくりに興味がある人
- 好奇心がある人
- 論理的な思考力がある人
1:コミュニケーション能力がある人
ICT業界では、エンジニアやデザイナー、ディレクターなど、さまざまな職種の人がチームを組み、協力しながら業務を行います。そのため、コミュニケーション能力が高い人はICT業界に適性があると言えるでしょう。
お互いにコミュニケーションを取りながら、自身が担当している業務を進めることで、スムーズにプロジェクトを進められます。
2:ものづくりに興味がある人
システムやサービスを開発することは、ものづくりでもあります。そのため、ものづくりに興味がある人はICT業界に向いているでしょう。
自分が開発に携わったサービスを多くのユーザーに利用してもらえることは、やりがいにも繋がります。規模の大きなサービスであれば、それだけユーザーからの評価も得やすいでしょう。
3:好奇心がある人
ICT業界は、技術革新の最中であるため、日々新しい技術が生まれています。ICT業界で活躍するためには、自分から新しい知識を吸収していく必要があるでしょう。
そのため、好奇心がある人はICT業界に向いていると言えます。
4:論理的な思考力がある人
論理的な思考力とは、物事を筋道を立てて逆算して考えることができる能力のことです。ICT業界で働くのであれば、システム設計を行う場合にもプログラミングを行う場合にも論理的な思考力が重要になります。
日常的に論理的に考えることができる人は、ICT業界に向いていると言えるでしょう。
就活を進めるにあたりICT業界の特徴を知っておこう
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市場規模が大きく注目されているICT業界で働くことにより、将来的には独立を目指すことも可能になります。
ぜひ本記事で紹介したICTの基礎知識やICT技術の活用シーン、就活生がICT業界を目指すメリットなどを参考に、ICT業界を目指してみてはいかがでしょうか。

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