新入社員にとって社会人の第一歩となるのは「入社式」ですが、その中でも注目が集まるのが新入社員の「答辞」です。ここでは、答辞に指名された際に言うべきことや、その心構え、マナーなどを例文とともにご紹介します。
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そもそも入社式の「答辞」とは?
まず、新卒生なら知っておきたい入社式の「答辞」についておさらいするとともに、答辞に盛り込むべき内容についてもご紹介します。
入社式の「答辞」とは
「答辞」とは、祝辞や送辞に対して「答えとして述べる言葉」です。企業による違いはあるものの、入社式は「開会の辞」で始まり、「社長あいさつ」「辞令交付」「祝辞」「新入社員の答辞」「閉会の辞」と続きます。この流れからもわかるように、新入社員による「答辞」は、社長や来賓、先輩などによる祝辞や訓示への答礼の言葉です。これをふまえて、答辞に盛り込むべき内容を見ていきましょう。
答辞に盛り込むべき内容
新入社員が答辞を述べる際、盛り込むべき内容を以下にまとめます。
<答辞に盛り込む内容>
・入社式開催への謝意
・訓示を述べた人への謝意
・入社の喜び
・今後の抱負や決意の表明
・締めの言葉(今後の指導のお願いなど)
大切なことは、「喜びの気持ち」を答辞に盛り込むことです。社会人のスタートとなる希望に満ちたあいさつがふさわしいので、凝った表現を使わずに素直な気持ちを表すようにしましょう。
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入社式の口コミ・掲示板 - みん就(みんなの就職活動日記)
出典:fotolia
入社式で答辞を述べる際のポイント
前述した内容を答辞に盛り込むことのほか、スピーチをするうえで大切となる基本的なポイントをご紹介します。
スピーチで注意すべきポイント
内容が素晴らしくても、スピーチの「仕方」が悪いと台なしです。以下のポイントに注意するようにしましょう。
・ハキハキと話して明るい印象に
小さな声は自信がないように見えるだけでなく、暗い印象を与えてしまう恐れがあります。また、会場の後ろにいる人にはモゴモゴとこもった音になり、何を言っているのか全く伝わらないという事態になりかねません。答辞を述べる際には、ハキハキと明瞭に話すことが大切であり、その話し方が明るい印象を与えます。ハキハキと話すポイントは、口をしっかり開くこと。そして、お腹から声を出すことです。ハキハキと明瞭に話すことは社会人として必要なことなので、答辞に指名された人だけでなく、全ての新入社員が心がけるべきことでしょう。
・原稿を棒読みしない
前述した通り、答辞は感謝の気持ちや今後の決意を表明する場となるので、暗記した原稿を棒読みするのは言語道断。全く気持ちが伝わりません。聞いている人を意識するだけで、聴衆の印象は変わります。原稿を暗記せずに手に持っていても構いませんが、目線が原稿にばかりいかないように気をつけましょう。
・背筋を伸ばして姿勢よく
姿勢が悪いと自信がないように見え、体を揺らすと落ち着きがない印象を与えます。答辞を述べる際には、背筋を伸ばして姿勢をよくするよう心がけましょう。姿勢がよくなるだけで、積極的で明るい印象になります。
・ダラダラと長く話さない
ダラダラと長い話に注意を向けてくれる人はいません。言いたいことは簡潔に述べるようにしましょう。
注意すべき入社式の「答辞」のマナー
次いで、「答辞」のマナーについてお話します。入社式の答辞は誰もが初めての経験になりますのでイメージしにくいかもしれませんが、会場の人を不快にさせたり失敗したりしないためにも、注意すべきマナーを覚えておきましょう。
スピーチ前
・登壇前に役員へ向け一礼
演壇に登る前に、会社役員や来賓者に向けて一礼しましょう。上体を腰から45度ほど前に傾ける最敬礼が適しています。演壇がない会場でも、会社役員や来賓者に向けて一礼してから、マイクのある場所へ移動するようにしましょう。
・登壇後は全体に一礼
演壇に登った後は、会場全体に向けて一礼します。
・スピーチ開始時にマイクの前で再度一礼
スピーチを始める前にも一礼。ペコっと頭を下げるのは厳禁。頭を下げた際に少し止め、ゆっくり顔を上げるようにしましょう。
スピーチ中
・スピーチの初めに謝意を表明する
答辞を述べる際、最初に謝意を伝えるのがマナーです。ただ原稿を読み上げるのではなく、感謝の気持ちを伝えるという本来の目的を忘れないようにしましょう。
スピーチ後
・スピーチ終了と降壇時にも一礼
スピーチを終えた後もマイクの前で再び一礼します。また、演壇から降りた後も会社役員や来賓者に向けて一礼し、自席に戻りましょう。演壇がない場合も会社役員や来賓者に向けて一礼します。
・謙虚な姿勢で!
自信を持って答辞を述べることは大切ですが、自信過剰にならないように注意しなければなりません。なぜなら、自信過剰は生意気な印象になるからです。「社会人としては右も左もわからない未熟者」という謙虚な気持ちを忘れないようにしましょう。
すぐに使える入社式の答辞【例文】
最後に、すぐに使える「答辞」の一般的な例文をご紹介します。
答辞例文
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僭越(せんえつ)ながら、新入社員を代表いたしまして、一言ごあいさつさせていただきます。○○部に配属されました〇〇(名前)です。
本日は私たち新入社員のために、このような素晴らしい入社式を開催していただき、誠にありがとうございます。
先ほど、社長をはじめとする諸先輩方から、心のこもった温かいお言葉や激励のお言葉を頂戴し、感謝の気持ちでいっぱいです。
○○社の一員として、このように華やかに迎えていただいたことを感謝するとともに、新入社員一同、その責任の重さを感じ、身が引き締まる思いです。
いただいたお言葉を肝に銘じ、○○社の社員であることを誇りとし、その名に恥じないよう日々精進してまいります。
社会へ一歩足を踏み入れたばかりの未熟者であるため、先輩方にはご迷惑をおかけすることも多々あると思いますが、一戦力として飛躍できるよう、ご指導ご鞭撻(べんたつ)のほど、よろしくお願い申し上げます。
以上、簡単ではございますが、新入社員の答辞に代えさせていただきます。ありがとうございました。
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上記が一般的な答辞の例文です。以下のような表現も使えるので、自分の気持ちに合うものがあれば使ってみてください。
・○○社の一員として迎えていただき、大変嬉しく、光栄に思っております。
・先ほどの社長のお話から、改めて○○社の一員になれたことを光栄に思います。→「社長」の部分は状況に応じて変えてください。
・何事も前向きに取り組む覚悟でございます。
・最大の武器となる若さとやる気(チャレンジ精神)を活かして、~
・やる気だけは人一倍ありますので、~
・何事にも全力で取り組み、一日でも早く一人前になれるよう努力してまいります。
・大企業の中でも慢心せず、常に謙虚な気持ちを忘れないよう心がける所存です。
・右も左もわからない未熟者ですが、~
・諸先輩方に比べ、何事にも経験不足ですが、~
・温かく、ときには厳しくご指導くださいますよう、お願い申し上げます。
例文をうまく活用して入社式の答辞を成功させよう!
答辞の指名はプレッシャーになるかもしれませんが、新入社員の代表になることは誇りに思うべきことです。大勢の前で話すのは緊張しますが、気負う必要はありません。大切なのは気持ちを正直に伝えること!ご紹介した答辞の例文を自分流にアレンジして、社会人の第一歩となる入社式の答辞を成功させましょう。
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人材派遣会社で数年間コーディネーターとして従事し、その後海外へ。現在は、ライター・翻訳者・日本語教師という3つの顔を持つ。政治・経済・教育を中心に幅広いジャンルで執筆中。