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【例文あり】エントリーシートで研究内容を分かりやすく書くコツ!

エントリーシートを作成する際に「研究テーマ」の項目で、わかりやすく書くにはどうすべきか悩む理系学生も多いでしょう。企業側に自分の研究成果が伝わりやすい書き方など、研究内容について書くコツを、例文を中心に紹介します。

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読み手に伝わる!エントリーシートの研究内容を書くコツ

基本的に研究内容に直結した就職ができる理系学生は少数派です。学部生だけではなく院生もそれは同じ。多くの企業では基礎研究や開発よりも製造工程に多くの人員を配置しています。そのため、多くの学生は就職活動を進める中で、生産・品質管理、技術営業、SEといった採用数の多い職種へ視野を広げることとなります。
専門領域外の業種・職種を受ける場合に求められるのは「詳しい研究内容」ではありません。研究を通じてあなたが何を得たか、またあなたの人間性や価値観を企業は知りたいと思っています。

ポイント1:専門用語は避け、誰もが理解できる内容に

■悪い例
「ゲノムDNAのシトシンがメチル化された場合、遺伝子がサイレントとなるが、細胞の分化に伴いゲノム領域でメチル化・脱メチル化が両方起こることで遺伝子発現が固有のものとなることを解明する研究を行ってきました」

■良い例
「研究テーマは哺乳類の遺伝子です。細胞分化の仕方で遺伝子が細胞に変換されるかは異なるため、この研究によってさまざまな病気の原因を特定できる可能性があります。私は先輩の成果を引き継ぎ、さまざまな条件下でどのように遺伝子が変換するのかを研究しました」

「悪い例」のシトシン、メチル化、発現といった単語は、学部や学科の違う友人でも理解できるでしょうか?専門用語ばかり並べてしまうと読み手に伝わりにくいので、なるべく分かりやすい単語に言い換えて、研究の概論や意義を伝えましょう。

ポイント2:研究で何を学んだかを明確かつ簡潔に

前述の通り大事なのは研究テーマ自体ではなく、あなたがどう研究に関わり、何を得たかです。

  • 研究に煮詰まった時に突破する力
  • 目標達成に向け、教授や先輩からうまく情報や協力を得る力
  • 仮説を立て、検証し、正誤を判定するという研究の基本姿勢
  • 効率や仕組み化を考える力
  • (応用研究の場合)アカデミックのみではなく、社会的なニーズを同時に考える力

など、研究によって学んだこと、得た力を簡潔に書きましょう。

ポイント3:志望先企業で活かせる技術や知識を具体的に

・志望業界と専攻が近い場合
その領域の知見を書いてください。企業の採用サイトやコーポレート全体のホームページ、IR情報などから、現在の事業や技術領域、R&Dなど推進中の領域を隈なく確認し、貢献できる領域がないか確認しましょう。

・専攻から遠く離れた業界を志望する場合
実は業界は離れていても活かせる技術は多くあります。例えば、自動車メーカーといえばエンジンなどの開発をイメージしますが、情報技術と生産管理といった職種も求められています。自分の力を活かせる職種が志望企業にないかチェックしてみましょう。

・専攻から遠く離れ、自分に合う職種もない場
例えば、農学部の学生がSE職になるというケースも多くあります。この場合はポイント2の「研究で学んだ力」が活かせます。分野や領域は違っても「成果を出した力」は再現性があるもの。現在はまだ志望業界の知見はないが、1つのことをやり遂げる力があることをアピールしましょう。

ポイント4:気持ちや熱意が伝わる表現を使って

最後は「熱意」です。なぜその研究に興味を持ったのか、その研究を活かせし、今後どう活躍していきたいか、どう社会に価値を出したいかという気持ちを伝えましょう。

出典:fotolia

エントリーシートの研究内容の例文1:化学・医薬品業界向け

■良い例
「私の研究テーマは電気化学反応を利用した、汚れや指紋をつきにくくする防汚膜の作製です。産学連携のプロジェクトで、新製品化に向け多数の試作品を作製・検証しました。このナノテクノロジー領域は基礎・応用の両輪からの研究、更には分析・解析技術が同時に進む、未知数な分野です。多様な要因を分析するため、難易度が高いものの、その分やりがいを感じました。貴社で製品化されている水処理膜、逆浸透膜などではナノテクノロジーの技術が使われていると伺っております。複雑なこの領域で日々チャレンジをしながら、世界的な水資源問題を解決していける貴社は私にとって理想の環境です。」

この例は応用化学を専攻する学生の研究内容・志望動機ですが、化学・製薬メーカーは機電系や生産工学、情報系などの学生も多数募集を行っています。化学・製薬メーカーは素材の最上流工程として、環境・バイオ・医療・エネルギーといった幅広い業界を変える力のある業界です。自分には関係がないと思わず、どんなビジネスをしているのか一度チェックしてみてはいかがでしょうか。

エントリーシートの研究内容の例文2:食品業界向け

■良い例
「私の研究テーマは酵母の耐塩性です。もともと私は『食が体の全てを創る』をポリシーとし、食に関わる応用生物専攻を選んだのですが、中でも免疫力の向上、アンチエイジングなど高い健康効果をもたらす発酵食品の効能を更に上げたいと考え、このテーマを選びました。具体的には、高濃度の塩分という過酷な環境下で酵母が成長できる理由を解明するために、酵母の浸透圧調整に関わる機構を研究しております。
研究過程にて、この機構にはイオンの調節も関わるということが分かり、独自で化学の勉強も行いました。分からないことがあれば化学専攻の教授に積極的に質問するなど、自分で考え前に進むことを学びました。家庭・業務・給食など幅広い事業展開をされ、より広いユーザーに対し食を提供する貴社で『人の体を創る、より良い食』を研究していきたいと思っております。」

食品の基礎研究をしている学生の研究内容例です。食というテーマにどう向き合っているのか、更になぜ食品業界の中でもその会社を選んだのかを説明しています。

エントリーシートの研究内容の例文3:総合電機業界向け

■良い例
「流体力学の研究室で、トンネルの入口の形状と騒音の関係を調べていました。しかし結論としてシミュレーションの結果と実際のトンネル突入の圧力変動値などが一致しないことが分かり、初期条件の設定や、実際の車両モデルの厳密な再現が重要であることを学びました。
流体力学を活かせる分野としては車両、インフラ等がありますが、それらは大きいモノである分野や進化が遅いと感じています。私としては掃除機、暖房器具、冷蔵庫、洗濯機など身近な生活家電の消費者ニーズを先取りし、スピーディーに進化させること、利便性を上げることに興味があります。そのため、総合家電メーカーである貴社で研究開発を行いたいと思っております。」

エンジニアが携われる業界は多岐に渡ります。例えば機電系の学生は、最終製品に機電系の技術を要する機械や自動車メーカーに就職を希望する方が多いですが、「モノを製造する工場」自体に機電系の技術が必要となるため、工場を持つほぼ全てのメーカーにとって必要な人材となります。広い視野で就職活動ができる分、なぜその会社なのかという理由を説明できると良いでしょう。

エントリーシートの研究内容の例文4:情報通信業界向け

■良い例
「機械学習を用いて、webサイトにおける有害表現を識別する研究をしています。健全な硬文体サイトと有害ドメインの単語頻出差異から有害表現を識別するなど、さまざまな手法の中から、もっとも有害表現の識別確率が高い手法を検討しました。手法が無限に考えられる中で効率的な当たりをつけるため、既存研究を隈なく調べる過程でスケジューリングやタスク管理能力が身に付きました。また、自分の技術や努力で人の生活を変えられる可能性をこの研究で感じました。私は今後もIT技術で人の役に立つシステムを開発したいと思い、貴社を志望いたしました」

例えば「効率性、スケジューリング、タスク管理能力」は、比較的どの研究領域であっても身に付く内容です。当たり前のことだからアピールにはならない、エントリーシートにはもっと華々しい成果を書かないといけないと考える学生は多いですが、自分なりに成長を実感できたのであれば「地味」でも立派な成果です。共同研究などで上げた成果をアピールし自分を大きく見せるのではなく、自分自身が具体的にどう伸びたのか、自省できる学生を企業は求めています。

エントリーシートの研究内容は分かりやすさが大事

日々研究を進める上で、当たり前に使っている専門用語。しかしエントリーシートを見るのは、その研究を殆ど知らない第三者です。研究内容は、誰でも理解できるように、十分に内容を吟味した上で記入することが大切。例文を参考にしながら、自分に合った書き方を見つけましょう。

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エントリーシートのクチコミ・掲示板 - みん就(みんなの就職活動日記)

おくいはつね

著者:おくいはつね

2006年より人材系企業にて、中途採用営業、営業支援、新規事業を経験。その後、東証一部上場企業などの採用コンサルティングや組織開発、研修プログラム開発、新卒採用ツール企画制作などに携わる。慶應大学などの教育機関でキャリア開発ワークショップを実施。また人材育成領域の事業立ち上げやマーケティングも行っている。