米国のサブプライム・ローン問題が発端となり、2008年秋以降の世界の金融市場が大波乱となったことはよく知られている。最悪期は過ぎたと見られるが、その後遺症はまだ相当な期間続き、日本と世界の景気回復には時間がかかるだろう。
世界中を駆け巡るマネーに国境は無く、日本の金融業界もその影響の中に置かれた。欧米の金融機関に比べたら損傷の程度は軽いと見られているが、銀行、証券、保険とも勝ち残り、生き残りへ厳しい状況に立たされている。そうした中で、今後も銀行、証券、保険などの垣根を越えた広い意味での金融業界の再編成が繰り返されることになるだろう。
日本の大手銀行は1990年代前半までは20数行もあったが、現在は3大メガバンク・グループを中心に信託銀行2グループを入れて8グループに再編、統合された。
3メガバンクは、三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)、三井住友フィナンシャルグループ(8316)、みずほフィナンシャルグループ(8411)。ほかは、りそなホールディングス(8308)、中央三井トラスト・ホールディングス(8309)、住友信託銀行(8403)、新生銀行(8303)、あおぞら銀行(8304)の顔ぶれ。新生銀行とあおぞら銀行は統合に向けて交渉している。
3大メガバンク・グループとはいえ、世界の金融グループに比べたらその資産規模、資産効率、時価総額などで見劣りすることは否めない。
地方銀行も、横浜銀行(8332)を筆頭に生き残りに懸命だ。大きなインパクトを与えたのは2007年10月に民営化された、ゆうちょ銀行の存在だ。不況の中で企業貸し出しは伸びず、個人部門はゆうちょ銀行の動きも加わり競争がますます厳しくなっている。
証券は、野村ホールディングス(8604)を中軸する野村グループと大和証券グループ本社(8601)を中軸とする大和証券グループの2大証券グループが業界をリードする。日興コーディアル証券は米国シティグループに2008年に統合されたが、そのシティグループが米国金融危機の中で事業部門ごとに分割・売却される再編の動きとなった。
その日興コーディアル証券を三井住友フィナンシャルグループが2009年10月メドに統合、大和証券グループと親密な関係にある三井住友フィナンシャルグループのこれからの証券戦略が注目される。三菱UFJフィナンシャルグループには、三菱UFJ証券(未上場)、ネット専業のカブドットコム証券(8703)がある。みずほフィナンシャルグループには、みずほ証券(8606)とみずほインベスターズ証券(8607)がある。
なお、ネット証券はSBI証券(未上場)、マネックス証券(未上場)、楽天証券(未上場)、松井証券(8628)、カブドットコム証券(8703)の5社が競う。
生命保険は、保険料収入の伸び悩みと、株式市場の低迷による資産運用益の不振が影響。大手は日本生命(未上場)を筆頭に第一生命(未上場)、明治安田生命(未上場)、住友生命(未上場)と顔ぶれはかわらない。お手軽な新商品を武器にこの数年間で収益を大きく伸ばしたのがアリコジャパンやアメリカンファミリーなどの外資系だ。生保はこれから業界変動が大きくなりそうだ。生命保険は歴史的に相互会社が多いが、第一生命は相互会社から株式会社に転換して株式上場を計画している。
損害保険は、もともと株式会社の組織形態が多いのは生命保険と異なる点だ。若者の自動車離れの現象が影を落としているなど事業環境は厳しくなっている。東京海上日動(未上場)を筆頭に、損保ジャパン(8755)、三井住友海上(未上場)がリード役。東京海上日動は東京海上ホールディングス(8766)、三井住友は三井住友海上グループホールディングス(8725)とそれぞれの持ち株会社は上場している。

